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続 特定失踪者問題調査会という組織

特定失踪者
11 /15 2018
続 特定失踪者問題調査会という組織

先の「拉致問題と差別」では、拉致問題界隈でよく使われる
「拉致が最優先課題」というフレーズを特に問題視しました。

一方、同じく頻繁に繰り返される「拉致被害者の即時全員一括帰国」
というフレーズに関わる問題を、
9月30日掲載の「特定失踪者問題調査会という組織」
という記事で提起しました。
「一人からでも救出を」という方針を持つにも関わらず、
「拉致被害者の即時全員一括帰国」以外認めないという趣旨の
国民大集会に参加し、
異議さえ唱えない調査会会長荒木和博氏の矛盾を指摘したのです。

この矛盾について、荒木氏より回答らしきものが出てきましたので、
「続」というかたちで再度取り上げます。

まず、やや長くなりますが、前回記事の該当部分を再掲します。

「特定失踪者問題調査会が「1人からでも救出を」という方針を発表したのは、
わずか3か月前の6月29日。内容は以下になります。
araki.way-nifty.com/araki/2018/06/news276730629-f.html
「北朝鮮に対して「即時全員一括帰国」を求めるのは当然であっても、
100%の実現は不可能である。
ともかく可能なところから取り返し、
最終的に全ての拉致被害者の救出を目指すのが
現実的かつ妥当な方向であると考える。」とはっきり書いてあります。

それどころか、
「以上のような活動を具体的に行うが、
最後の1人まで取り返すためには
北朝鮮の中に入り調査を行わなければならない。
そのための官民合同調査団の結成に向けて準備を進める。
また、調査会独自でも陸路及び海路から北朝鮮へのアプローチを目指す。
ともかく情報が必要であり、
また現在明らかにできる情報は可能な限り明らかにすべきである。
これまでたびたび、北朝鮮側から日本政府に
拉致被害者・特定失踪者の情報が提供されたと言われており、
米朝の交渉の中でも提示されたとの報道がある。
政府は拉致問題を進展させようとするなら、
今あるリストを公表するよう求める。」とまで言っています。

にも関わらず、国民大集会で全会一致で賛同された決議文にはこうあります。
「我々が要求しているのは連絡事務所の設置でも、報告書や偽の証拠でもない。
認定、未認定にかかわらず全拉致被害者が
笑顔で家族のもとに帰ってくることだ。
だからこそ、金正恩政権に
全拉致被害者の即時一括帰国を決断させるという一点に
全精力を注ぐことが求められている。」
全く正反対の内容です。
荒木氏や大澤代表以下特定失踪者家族は
なぜこのような決議文に賛同できるのでしょうか?」

さて、当たり前の話ですが、この矛盾に気付いたの私達だけではありません。
長く拉致問題に真剣に取り組んでおられる方で、
荒木氏に矛盾を問い質す文書を送った方がいらっしゃいます。
先日、その文書と荒木氏によるそれに対する返信を、
人づてに見せて貰う機会がありました。
そこで、このブログに載せてよいか尋ねたのですが、
そのままのかたちでは困るということでしたので、
返信の骨子の部分だけ抜き出して掲載したいと思います。

荒木氏の言い分は以下のようになります。

・調査会の「一人からでも、できるところから」という方針に変わりはない。
・しかし、救う会・家族会の「拉致被害者の即時全員一括帰国」
に反対はしない。
・その理由は、北朝鮮への要求として「できるところから」
という訳にはいかないから。
・公的には「拉致被害者の即時全員一括帰国」を要求し、
現実的には「一人からでも、できるところから」作業していく。
・これに矛盾はない。

これを読んでどう思われるでしょうか?
原文そのままではないし、提供して下さった方に迷惑もかけられないので、
これ自体には論評はしません。
あくまでも公表されている方針に基づいて批判したいと思います。

荒木氏及び調査会は「一人からでも、できるところから救出を」と
「拉致被害者の即時全員一括帰国」が併存可能な方針だと主張しています。
かなり無理のある主張ですが、
そう主張するための材料は、6月29日の方針に既に挿入されていたのです。

方針には
「北朝鮮に対して「即時全員一括帰国」を求めるのは当然であっても、
100%の実現は不可能である。」とあります。
この時点で併存のための布石が打たれています。
なぜかといえば、即時全員一括帰国というのは、
全員かゼロ人か(all or nothing)の2つしか選べない方針であって、
パーセンテージなどありえない話だからです。
しかし、パーセント表示をすると、わずかに0.1%の可能性でも
ありはしないかと期待を持たせることはできそうです。

分かりやすくするため、仮に拉致被害者を100人だという事にしましょう。
「即時全員一括帰国」というのは99人帰すと言われても、
100人全員一括の帰国でなければ認めない、という方針です。
99人とりあえず帰国させるのであれば、
それは「拉致被害者の全員帰国」でいい話であり、
(残りの1人はいずれまたということも可能ですから)
「即時」「一括」をわざわざつける意味はありません。
「即時」「一括」をつけることが百害あって一利なしだからこそ、
私達は反対しているのです。
この方針では100人かゼロ人かの二者択一しかありえません。
そして現状ではこの仮の設定のように
100人という人数さえ出ていないのですから、
この方針では帰国者ゼロ人以外の結果はのぞめないのです。

そのような分かり切った事実をぼかすために
「100%の」という言葉が挿入されています。
普通どのように考えても
「北朝鮮に対して「即時全員一括帰国」を求めるのは当然であっても、
実現は不可能である。」であるはずが、
そこに「100%の」を挿入することで、
部分的には実現可能であるかのような幻想を
もたせる仕組みになっているのです。
まるで100度になると、水が水蒸気になるのだから、
30度のお湯から70パーセントの水と30パーセントの水蒸気を
取り出すことが可能であるかのように。

なかなか巧妙です、と言いたいところですが、
文章としては全然巧妙ではありません。
この理屈で説得される人は、一般社会にはほとんどいないでしょう。

荒木氏が巧妙なのは、説得すべき人間を絞り込んでいることです。
特定失踪者家族だけ、拉致問題関係者だけ、説得できればそれでいいのです。
そのためには、論理も証拠も必要ありません。
頭から信じたがっている人には、自信満々な素振りだけで充分なのです。

それならば特定失踪者家族と調査会の狭いサークルのなかで、
よろしくやっていればいい。
私達には関係のない話だ。
そう思われるとしたら、
それは拉致関係者の希望している通りの考え方をしていることになります。

考えても見て下さい。
拉致問題にさほど関心がない人でも、
拉致問題が十数人の認定拉致被害者の問題ではなく、
それを含めて数百人、どうやらいるらしい、
というイメージを持たれている方が大勢いるはずです。
政府の拉致関係の行事などもその前提で行われており、
安倍総理や菅官房長官もその前提で話をしています。

この数百人が特定失踪者な訳ですが、大勢いる一般の行方不明者の中から、
特定失踪者と呼ばれる人を最初に選別し、
今もしているのは一体誰でしょう?
政府ではありません。
警察でもありません。
それをしているのは、何の権限も持っていない民間団体である、
特定失踪者問題調査会とその会長荒木氏なのです。
だから特定失踪者家族は、恩義のある荒木氏に服従するのです。

拉致問題といってもたった十数人の話でしょう?何でそこまで大騒ぎするの?
という多くの人の疑問に対して、
いやいや、拉致は実は何百人もされているのだよ。
と答えるその根拠は、調査会とその会長荒木氏の判断にしかないのです。
これはとても重要なことです。

調査会という組織、荒木氏という人物が、
どこからみても非の打ち所のない組織・人物ならまだいいのですが、
その辺りはどうでしょうか?

11月12日に荒木氏と特定失踪者家族は
菅官房長官兼拉致問題担当大臣に面会し、
要請文書を手渡したそうです。
araki.way-nifty.com/araki/2018/11/12news285930119.html
この記事に全部で10項目の要請文書の内容が記されています。
この文書の内容が問題です。
いや、もう問題だらけと言いたいのですが、
とりあえず主だったものだけ指摘します。

7、国内での協力組織・個人への取締りについて
 北朝鮮の拉致は今後も行われる可能性があります。
日本国内の工作員・協力者は現在も行動しており、
韓国の親北勢力とも連携をして公然・非公然にその活動を活発化させています。
この際あらためて北朝鮮に協力的な組織及び個人に対して厳しい取締りを行い、
可能な限り摘発をしていただきたくお願い申し上げます。

・・・日本では北朝鮮に協力的というだけで、
違法行為を犯してもいないのに、その虞(おそれ)があるというだけで
取り締り・摘発をされなければならないのでしょうか?
とんでもないファシスト国家ですね!

9、他の北朝鮮の人権問題について
 韓国政府は政権交代以来北朝鮮人権問題について
一切言及しなくなりました。
日本人はおろか韓国人拉致被害者についても何もしておらず、
逆に北朝鮮を救おうとする動きを強めるばかりです。
生存している全ての拉致被害者を救出するためには
北朝鮮の人権状況が抜本的に改善されることが必要不可欠です。
総理はたびたび「拉致問題を解決しなければ北朝鮮は明るい未来を描けない」
と発言しておられますが、逆に、
一部拉致被害者の帰国が
他の人々の人権を踏みにじることになってはなりません。
 日本政府として北朝鮮人権問題について、
特に日本人妻や帰国者・戦後残留者及び強制収容所・公開処刑などの
問題についてより踏み込んだ取り組みをされるようお願いします。 

・・・支離滅裂で何を言っているのか分かりません。
なぜ「全ての拉致被害者を救出するためには北朝鮮の人権状況が
抜本的に改善されることが必要不可欠」なのでしょうか?
2002年の5名帰国時、北朝鮮の人権状況はどのようだったのでしょうか?
「人権状況の「抜本的改善」がなされないので救出は不可能である」との
言い訳を事前にしているかのようです。
後一点、もの凄い嫌韓ぶりですね。

あと、荒木氏のものごとの判断の基準を、かなり明確に示している記事があります。
araki.way-nifty.com/araki/2018/10/news2842301015-.html
「「日本政府は北朝鮮に対し、平壌に連絡事務所を設置したいとの
意向を伝えていた」と共同通信が昨日報道しました。
外務省は否定しているようですが、
まあそんな話しが進んでいても不思議ではありません。
この交渉が行われているとすれば、安倍総理が全く知らないところで
進んでいるとも思えません。
極めて敏感な問題であり、総理が知らなかったのなら
担当者の首が飛んでも不思議ではありませんが、
以心伝心程度も含めて、すくなくとも官邸と全く別のことを
やっているはずはありません。
私は総裁選で石破元幹事長が
「連絡事務所を設置して」と言ったのを批判しましたが、
これが事実ならどっちもどっちということで
批判して悪かったかな、とも思っています。」
石破氏が連絡事務所の設置を主張したら批判するが、
安倍総理が設置に動き始めたら、批判して悪かったかな、と言う。
ここは、「どっちもどっちで(石破議員を)批判して悪かったかな」
ではなく、きちんと安倍総理も批判しなければならないところです。
・・・ということは、荒木氏は、他の人がやったら批判することでも
安倍総理がやれば、今後批判しなくなる、
という信念(?)の持ち主の様です。

調査会や特定失踪者家族は言います。
「特定失踪者問題に関心を持って下さい」。
私はここで家族の皆さんに申し上げたいです。
「特定失踪者問題調査会に関心を持って、しっかり監視して下さい。
荒木和博氏の言動に関心を持って、しっかり監視して下さい。
そして評価すべきところがあれば評価し、
批判すべきところがあれば批判して下さい。
そうしなければならないほど、彼らは重要な存在なのですから。」
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Serenity Prayer

某県「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出する〇〇の会)元幹事。
脱退後に意見の対立から除名されたらしい。(正式な通告はなかった)
ウヨク的思考を経て中立に物事を見て、判断し、発言する方向へ変わる。
中立の立場から今の拉致問題のあり方に疑問を持つ。
拉致問題に限らず、考え方はヒューマニズムに立つ。