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Ⅰ なぜ「拉致被害者の全員一括帰国」という目標はフェイクなのか?

新しい視点
06 /16 2018
Ⅰ なぜ「拉致被害者の全員一括帰国」という目標はフェイクなのか?
 (南北会談後は「即時全員一括帰国」と言い出している)

拉致問題において、日本政府に対して最も厳しい観方をする人でも、その非難の内容は「やる気がない」「解決する気がない」であり、あくまでも日本政府は「拉致被害者救出を目指す」という方向を向いていることになっています。
例えば、『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(蓮池透)という極め付けに厳しいタイトルの本でも、「本当に安倍晋三首相に拉致問題を進展させる気概があるのか、はなはだ疑問である」(p2)と書かれています。

しかし私たちの現在における、日本政府への評価は、それより遥かに厳しいものです。
それは
「そもそも日本政府は、拉致被害者救出を目指してなどいない」
ということです。
言葉を代えて言えば、一般の拉致被害者に同情的な国民と、日本政府は、向いているベクトルが違うのです。

これは私たちが勝手に思っている訳ではなく、きちんとした根拠があります。
それが
「「拉致被害者の即時全員一括帰国」という目標がフェイクである」
ということであり、さらに言えば、
この目標は前提自体が、誰が見ても間違っていて、その強引な間違い方は、単なるミステイクであるとは、とても考えられないということです。

それでは前提の間違いについて、具体的に見てみましょう。
そのために目標の前提を
①「拉致被害者全員の内訳を日本政府は把握している」
②「拉致被害者は全員生きている」
③「拉致被害者は全員日本に帰国したがっている」
の3つに分け、それぞれの内容を分析してみることにします。

①拉致被害者全員の内訳を日本政府は把握しているのか?
いわゆる認定拉致被害者については把握していると言えます。政府の拉致問題対策本部のHPでも17人の名前が明記されています。(内5人は帰国しているので実質12人) しかしさらに見るとこうあります。
「政府は、北朝鮮に対して、これまで認定している拉致被害者に限らず、すべての拉致被害者の安全確保と即時帰国を繰り返し要求しています。」
「すべての拉致被害者」とは、これまで認定している拉致被害者に限らない、と言っています。
HPをさらに見れば分かるように認定拉致被害者だけでなく、
「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない人」がいることになっています。
そして「政府は、北朝鮮に対し、北朝鮮によって拉致された可能性を排除できない人に係る関連情報の提供を繰り返し要求しており」とあります。

つまり、「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない人」の中の実際の拉致被害者の内訳は日本政府も自ら知らないことを認めています。
それは北朝鮮にしか分からないのです。
「可能性を排除できない」というのは消去法による一方的な断定に過ぎず、毎年日本国内で生存・所在が判明する人が出ることからも判ります。

拉致被害者全員を、認定拉致被害者に限っていない以上、その内訳を日本政府は把握している、とは到底言う事はできないのです。
*警察庁のHPには「883人」の方が「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者」として記載されています。(2018.5.4現在)勿論、確たる拉致の「証拠」が有る為記載しているわけではありません。前述したように、状況証拠・消去法により「北朝鮮による拉致以外考えられない」という理由によります。

②拉致被害者は全員生きているのか?
ここで私たちは「拉致被害者は全員死んでいる」と言いたい訳ではありません。そもそも拉致被害者全員の内訳を知らない以上、そのような言葉は無意味です。
①で述べたように「全員」の内訳が明確でない上に、北朝鮮にいる拉致被害者の生死は北朝鮮にしか分からない以上、
「何人いるのか分からない拉致被害者が全員生きていることを日本政府が確信している」というのは、論外という他ありません。

③拉致被害者は全員日本に帰国したがっているのか?
ここで私たちは「拉致被害者は全員日本に帰国したがっていない」と言いたい訳ではありません。
日本に帰国したがっているのかどうかは、拉致被害者本人にしか分からない、と言いたいのです。
そう言うと、「北朝鮮で自由にモノが言える訳ではないから、言わされている可能性がある。本心は帰りたいに決まっている」と言う人がいますし、もちろんそういう場合もあるでしょう。
一方で、
・北での家族を残して帰国できない
・日本には身よりがいない
・生活基盤が北朝鮮でとりあえず安定している
 以上の理由から帰国を望まない場合もあります。
頭ごなしに勝手に決めつける権利は誰にもありません。
※②③についてはより詳しく後述します。

以上これほど曖昧な前提に「一括」までついてしまったら、もうどうすることもできません。
それに「即時」までつくことになりました。「即時」とは具体的にいつのことをさしているのか、言い出した人がはっきりさせなければ、誰にも分かりません。
しかも「全員一括帰国」を達成しよう、というのは単なる努力目標ではなく、
「全員一括帰国」しか認めない、という自らを縛る救出の「原則」としてしまいました。
そうすると「段階的に」全員を把握する、「段階的に」生死を把握する、「段階的に」帰国の意思を確認する、という当たり前の過程が全てシャットアウトされてしまいます。

「拉致被害者の即時全員一括帰国」が目標である限り、拉致被害者救出活動は一歩も進むことはできません。
そしてこの目標は誰かから押し付けられたものではないのです。
日本政府・救う会・家族会が自分達で決めたものです。異論を許そうともしません。

だから上の根拠に基づいて改めて断言します。
「「拉致被害者の即時全員一括帰国」という目標はフェイクである」

今まで読んできた方にはお分かりでしょうが、被害者の救出を実現させるためには「北朝鮮に確認して、とりあえずそれを信じる・北朝鮮から出された情報をひとまず受け取る」ことが必要になります。
そうすれば、先の①②③は全てクリアできます。
問題は全て0人になってしまう可能性が極めて高いことです。
ですから当然のことですが、情報を受け取るだけではなく、情報の内容精査が必要になります。
この精査こそが、支援者や家族にはできないことで、プロフェッショナルの政府関係者しかできないことになりますが、現状はどうなのでしょう。
この件は大変大事なことなので、後に改めて論じます。
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Serenity Prayer

某県「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出する〇〇の会)元幹事。
脱退後に意見の対立から除名されたらしい。(正式な通告はなかった)
ウヨク的思考を経て中立に物事を見て、判断し、発言する方向へ変わる。
中立の立場から今の拉致問題のあり方に疑問を持つ。
拉致問題に限らず、考え方はヒューマニズムに立つ。