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Ⅶ ほぼ永遠に「生き続ける」ことになっている拉致被害者

新しい視点
06 /16 2018
Ⅶ ほぼ永遠に「生き続ける」ことになっている拉致被害者

①横田めぐみさんの「遺骨」DNA鑑定
 2004年11月、北朝鮮は横田めぐみさんのものとされる「遺骨」を提出してきました。
その遺骨は1200℃という高温で焼かれたものでした。それ故、警視庁の科学警察研究所では、DNAそのものの抽出ができませんでした。
しかし、帝京大学の吉井富夫講師は、めぐみさんのへその緒から抽出したミトコンドリアDNAと比較し、
北朝鮮から提出さらた遺骨は、めぐみさんのものではないと発表したのです。
その際、吉井氏はサンプルは全て使いきったので、再鑑定はできない、とも話しをしています。又、遺骨は素手で触れたならその人のDNAが付着する(汚染)される可能性もあり、そのような場合、完全に汚染を除去することはできないとも話しています。
この結果に対し、北朝鮮は「1200℃の高温で焼かれた骨からDNAは検出できない。日本の発表は捏造である。」と声明を出しています。(2005.1.26)
又、科学雑誌Nature2005.2.3の記事では、この吉井氏の鑑定に疑義を呈しています。更に、吉井氏は、警察経験が無いにも関わらず、2005年3月警視庁科捜研の法医課長として採用されています。警察が、外部の人間を管理職採用することは異例なことです。以後、公務員となり公式なコメントを勝手に発表ができない状態になっています。
 日本政府の公式見解は、「横田めぐみさんの遺骨とされるものは偽物。よって、めぐみさんは生存している」です。

②北朝鮮から「出されるもの」は全て捏造 ― 故に、被害者は「生存」している
 北朝鮮から提出された「遺骨」はめぐみさんのものだけではありません。2002年には
松木薫さんの「遺骨」も提出されています。これも鑑定の結果、別人のものであるとされています。
北朝鮮から出された「死亡診断書」も5人の帰国者の証言、脱北者の証言等から、「死亡」とされた年月日以降、生存していることが判明したケースがあると言われています。北朝鮮から提出された偽の「死亡診断書」「遺骨」から、北朝鮮から提出される情報は嘘ばかりで信用できない、ということが日本政府、救う会、家族会の共通認識となっています。
 そして、彼らは今後被害者の「遺骨」とされるものが提出されたとしても、それは「被害者の腕を折って本物の遺骨」を造ったものかもしれないと事前に予防線を張る発言を繰り返しています。
 つまり、本当に被害者が死亡していたとして、本当の「死亡診断書・遺骨」が提出されることがあったとしても、それ以前に偽物を出しているので、今回も偽物であると断言することができるのです。あるいは、「生存している被害者の体の一部を切り取って骨にしたものを出して来たので、被害者は生存している」と言えるのです。
拉致被害者は、「死亡診断書・遺骨」が提出されようと、偽物が提出されたに過ぎないので、「生存」していることになるのです。又、数年前の目撃情報を理由に「生きている」ということができるのです。数年前に生存していたことが確実であったとしても「今、現在」も生存しているという確証はありません。
 拉致被害者は、「死亡」することは無く、「生存」し続ける存在なのです。しかし、実際に被害者の生死を確実に知っているのは、北朝鮮だけなのです。日本政府、救う会、家族会はあくまで、「生存していることにする」と仮定すること以外できません。
それは正確には、「生存しているかもしれないし、死亡しているかもしれない」という50%ずつの可能性でしかないはずです。
「生存していて欲しい」という家族の希望は理解できます。
しかし、日本政府や救う会は「生存している場合は救出する」が「死亡していた場合には、どうするのか」を考えねばなりません。
金銭による賠償、北朝鮮に残されている被害者の北朝鮮での家族(たとえばウンギョンさん一家のような)との面会などを進めていかなければならないのではないでしょうか。
さて2004年12月、当時幹事長代理だった安倍晋三氏は以下の発言をしています。
「これからは証拠を出せと言うと危険だ。生存者を返せと言うべきだ。彼らは生きている人の腕を折って本物の遺骨をつくることすらやりかねない」
頭から「生きている」と決めつけ、証拠の有無など問題にしていません。
どういう根拠があって「やりかねない」と言っているのか不明ですが(そんな実例があるのでしょうか?)、そこまで残虐な国だと認識しているのに、それから13年以上たっても、その残虐な国で拉致被害者が全員生き続けていると言い続けるのには、相当な無理があると言わざるを得ません。

③拉致被害者は生存していなければならない
被害者をほぼ永遠に生存していることにすることは、拉致問題の解決がほぼ永遠にできないということです。
本当に死亡している被害者がいたなら、返すことはできないからです。
「即時全員一括帰国」という譲れない条件を欠くことは許されないからです。(「全員」の範囲が不明確な以上、そもそも全員生存という言葉自体が現実性を欠いています)
家族が生存に希望を持つことは当然のことです。
政府、救う会が生存に拘り、家族に「即時全員一括帰国以外は認めない」と言わせることのメリットは何でしょうか。
拉致問題を終わらせないこと、これ以外に考えられません。
政治利用するためには、解決しては困るのです。
北朝鮮という敵国、悪の国が隣国に存在しなければ、防衛費増強、憲法改正等に大義名分を与える根拠が薄弱になります。
解決し、国交正常化すれば、莫大な賠償金を北朝鮮に支払わなければならなくなるでしょう。国民の反発も予想されます。2002年の小泉訪朝時とは比較にならないほど、北朝鮮憎悪、在日韓国・朝鮮人へのヘイト感情は高まっている現状、国交正常化交渉と聞いただけで、世論が反発することは想像できることです。
 つまり、拉致被害者には、生存していてもらわなければ困るのです。そして、家族に「即時全員一括帰国」以外は認めない、と言い続けてもらわなければ困るのです。
誰が?
拉致問題を利用している日本政府、安倍総理、救出運動を続けたい救う会がです。
分かりやすい例をあげましょう。
2018年3月29日の「チャンス到来、金正恩に拉致被害者帰国を迫れ!」緊急集会の決議文(A4の紙片面1枚の文章)の中で「全被害者の一括帰国」という言葉が6回出てきます。
そしてそのほぼ一カ月後の4月22日の国民集会の決議文では、それが「全拉致被害者の即時一括帰国」に変わっています。
なぜ「即時」を入れる必要があったのでしょう。
南北・米朝首脳会談が近づき、何らかのかたちで拉致問題が「解決」される可能性が高くなってきたので、慌てて「解決」のためのハードルをあげたのではないですか?

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Serenity Prayer

某県「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出する〇〇の会)元幹事。
脱退後に意見の対立から除名されたらしい。(正式な通告はなかった)
ウヨク的思考を経て中立に物事を見て、判断し、発言する方向へ変わる。
中立の立場から今の拉致問題のあり方に疑問を持つ。
拉致問題に限らず、考え方はヒューマニズムに立つ。