fc2ブログ

拉致問題と時間

救う会
10 /29 2019
拉致問題と時間

①拉致問題は「時間との闘い」なのか?
10月5日は横田めぐみさんの55歳の誕生日で、
各メディアがこの件を取り上げていました。
代表として東京新聞の記事を挙げてみます。

「拉致家族高齢化 時間との闘い」 横田めぐみさん55歳 弟が早期解決を訴え
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201910/CK2019100602000121.html
「北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさん=失踪当時(13)=が
55歳の誕生日を迎えた5日、拉致問題への関心を高めようと、
川崎市中原区で「拉致被害者家族を支援するかわさき市民のつどい」
(同市主催)が開かれた。
弟の拓也さん(51)が講演し、
「拉致被害者の家族は高齢化し、時間との闘いを強いられている」
と早期解決を訴えた。」
(以下略)

ここで「時間との闘い」という言葉が出てきています。

時間に関する言及は東京新聞に限りません。
・横田めぐみさん55歳に 弟は「猶予ない」と危機感(共同通信)
・「いらだちが本音」最愛の姉と別れ40年以上、
自身は家族会の中心に(産経新聞)
など、各社同じように、タイトルから「時間がない」ということを
前面に押し出しています。

しかしこの「時間がない」という言い方に、
私達は強烈な違和感を覚えずにはいられません。
まず昨年6月22日のブログ記事「待てるのですか? 待てないのですか?」
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-36.html
で触れましたが、
救う会・家族会はメールニュース(2018/06/20)
「全被害者の即時一括帰国を!6/29(金)特別集会ご案内」の中で、
「家族会は、一刻も早く会いたい気持ちを抑えて、
冷静な対応を求めています。」
と言っています。

また昨年11月10日の記事「拉致問題と差別②」
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-67.html
で触れました。
「11月1日の東京連続集会で以下のような発言がありました。
西岡力氏 
「9月の国民大集会で飯塚代表は重大な発言をしました。
私たちの今年の運動方針は、「再度政府に年内の解決を求める」ですが、
飯塚さんは「年内とは言いません」とおっしゃった。
運動方針に反しているんですが、
「でも慎重に、確実にやってほしい。
しかし急いでほしい。期限は切りません」と。
 これは情勢をよく分かっていらっしゃって、
「早く」という気持ちと、
「しかし失敗したら大変なことになる」ということが、
飯塚さんにあの言葉を言わせたんじゃないかなと思います。
国民大集会の一番の核心の発言は、
飯塚さんの発言だったと私は思っています。」

また先日の9月16日国民大集会で、
飯塚繁雄家族会代表は以下のように言っています。
www.sukuukai.jp/mailnews/item_7071.html
「私としては、総理に対して「焦らずに」という言葉を使わせてもらいました。
何もしなくていいということではなく、
変に方向を間違えたりしてしまうことの
ないようにということで、私たちの願いはあくまでも拉致被害者の奪還です。
日本に帰国させることです。この目標をはっきりと捕えた上で、
どなたもそれに向かって一心に活動なさっていると思います。
従って私としては、「焦らずに急いで」という言葉がありますかね、
着実に帰国に結びつくためにどうするのかということを常に考えながら
行動してもらいたいと思います。」

これらを読み、救う会・家族会が、現在、
「時間との闘い」だ。
「猶予がない」。
と考えているとは、到底思えません。
「いらだちが本音」であれば、家族会事務局長の横田拓也氏は、
そのいらだちをマスコミに語るのではなく、「焦らずに」と言う、
家族会代表の飯塚繁雄氏にぶつけるべきだと、
誰もが思うのではないでしょうか。

第一、当の横田拓也氏自身が9月16日の国民大集会で、
以下のように言っています。
www.sukuukai.jp/mailnews/item_7103.html
「その意味では今回、トランプ政権は若干メンバーが変わっていくんでしょう。
そして先ほど申し上げましたように、日本政府がまずコミュニケーションを取る
必要がありますが、今後はタイミングをみはからって
家族会、救う会、議連が一緒になって人脈を作るとともに、
私たちの意見を改めて深く打っていくために
活動していかなければならないと思っています。」

よその国にゲタを預けておいて、「時間との闘い」もないでしょう。
「タイミングを見計らって」とありますが、
ストックホルムで米朝会談が行われた前後も、救う会・家族会共に、
全く音無しの構えでした。
日本政府は言うまでもありません。

くどくどと述べましたが、以上によって私達は、
救う会・家族会が、拓也氏が言っているように、
焦っていたり、猶予がないと思っているとは、見なしません。

そこで、なぜ横田拓也氏はマスコミに対して、このような発言をするのか、
を検討してみたいと思います。
彼が「時間がない」という根拠は、上の東京新聞の記事にあるように、
「拉致被害者の家族は高齢化し、時間との闘いを強いられている」
にあります。

拉致被害者の家族が高齢化しているのは事実です。
ですが、今年になって急に高齢化が進んだのではないことは、
言うまでもありません。
高齢になり、拉致被害者である家族に会うこともできずに
お亡くなりになった家族は、すでに何人もいます。
つい先日(10/21)も、
特定失踪者家族の藤田春之助さんがお亡くなりになりました。
https://www.sankei.com/world/news/191021/wor1910210008-n1.html
「拉致濃厚、藤田進さんの95歳父死去 
「もうすぐ会える」願いかなわぬまま 被害家族高齢化、募る焦燥感」

だから本当は「時間がない」のではなく「間に合わなかった」
というのが正しいのです。
であるのに、なぜ、「時間がない」と言い続けられるのかといえば、
まだ高齢の拉致被害者家族が何人もいるからです。

しかしこれはおかしいことなのです。
「間に合わなかった」人にとって
、「間に合わなかった」ことは動かし難い事実です。
その人にとっての真実です。
それを「間に合わなかった」ら、残った家族に「時間がない」を引き継ぐのは、
一人一人のかけがえのない人生に対する、冒とくではないでしょうか。
上の記事のタイトルも「「もうすぐ会える」願いかなわぬまま 
被害家族高齢化、募る焦燥感」とありますが、
願いをかなえる目標があってこその「募る焦燥感」ではないですか?
そのような冒とくを繰り返し、2002年の5人帰国から数えても、17年に渡って
「時間がない」と言い続け、今も言っている。

17年も時間があったではないか、とは言いません。
ただここで
「時間がない」と言いながら、その一方で「しかし期限は設けない」という、
拉致問題を巡る悪しきシステムに絞って、考察してみようと思います。

②マインドコントロールと時間
拉致問題におけるマインドコントロールについては、
このブログの最初の記事「新しい視点」の8章
「拉致被害者家族はマインド・コントロールにかかっているのか?」
で既にふれました。
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-22.html
今改めて読んでも、特に直す必要はなく、そのまま通ると思います。

ここで「マインドコントロールと時間」という補助線をまず引こうと思います。
なぜなら、「時間がない」と言いながら「しかし期限を設けない」というのは、
終末思想をヒントとした、カルト宗教によくみられる傾向であるからです。
もちろん拉致問題とカルト宗教は関係ありません。
カルト宗教と比較されることに悪意を感じられる方もいるでしょう。

しかし「時間がない」と言いながら「しかし期限を設けない」という、
常識的に無理のある体制をとっている組織は多くはなく、
その少ない類例の中で比較することは、
意味のないこととは思えません。

そこで「マインドコントロールと時間」という観点から、
具体的に「エホバの証人(ものみの塔聖書冊子協会)」を例として
取り上げてみたいと思います。
といっても、「エホバの証人」について、
客観的な立場から網羅的に記述された書籍は、
私の知る限りでは見当たりません。
ですので、カルト宗教からの信者の脱会と社会復帰に尽力されている、
真理のみことば伝道協会(代表ウィリアム・ウッド師)から発行されている
機関紙『truth』(一般の人の目にふれることは余りありませんが)の
記事を基に、「エホバの証人」と時間についての輪郭を
描いてみることにします。

(1)美化される終末のパラダイス、そして美化されるそこに至る苦難の日々
「20年ほど前のことですが、私(筆者注:W・ウッド師)」は
ウクライナのある教会で、
エホバの証人のことについて、講演をしていました。
「エホバの証人は、間もなく、この地上において楽園ができると信じています。
彼らは、その希望に自分のすべてを託して、貧しい生活を我慢しながら、
また、多くの犠牲を払いながら、
一生懸命にものみの塔協会のために働いていますが、
パラダイスが実現したら庭付きの立派な家も与えられ、
戦争も犯罪も貧困もなくなる と信じています。」
ものみの塔の本に掲載されている絵を見せながら、話をしていました。
すると、突然 一人の男性が立ち上がって、こう叫びました。
「それはね、昔から、旧ソ連当局から聞かされていたのと同じ話しだ。」
200人位の会衆から、爆笑が沸き起こりました。
(中略)
カルト化した団体の一般的な特徴として、この世の職場で働く人は、
団体のためにフルタイムで働く「献身者」より
霊的レベルが低いとされています。
(中略)
カルト化した団体には、貧しい生活が美徳化される傾向がある。」
(『truth』162号)

拉致問題に置き換えると→
拉致問題の終末としての「全拉致被害者の即時一括帰国」のいう名の解決は、
現実から遊離した、実現可能性を度外視したものになっています。
そして、現実であれば、長い間離れていたため、必ずあるはずの、
・年をとっているため、見分けがつくか分からない
・長い年月離れていたことによる、コミュニケーション上のギャップ
・北朝鮮国内で新しくできた家族をめぐる問題
・そもそも帰国を望んでいるかも分からない
・長く放置されていたため恨んでいるかも分からない
などの諸問題を全部無視して、
まるで最後の審判におけるように、拉致された家族が、
拉致された時のままの姿(例えば、中学校の制服を着ためぐみさん)で
帰って来るかのような、現実離れしたイメージを振りまいています。

そしてその甘いイメージを全面的に打ち出し、
そのために苦労する拉致被害者家族の姿を持ち出しています。

一部の家族は「被害者を救出するためには、
私たち家族は語らなければならない。言葉が武器だからだ。」等と言い、
通常の社会的な仕事より、講演会を優先しているかのような方もおられます。
時に、社会的仕事から得られる収入より、講演活動から収入を得られるように、
”専従”の活動家になる人もいます。
そして、そのように社会的な仕事から収入が得られない状態であることを
誇りに 感じる場合もあるかもしれません。
生活を切り詰めてまで、”救出活動に身をささげている”のだから、
支援者も、国民ももっと、支援しなければならない、
という「空気」が醸成されてはいませんか?

支援者に「一日も早く拉致被害者と家族が再会できるように」
ボランティアに励むように仕向け、
一般国民には、「拉致問題の解決は国民の義務」と刷り込んだ上で、
「拉致問題解決のための改憲」
「拉致問題解決のための軍事力増強」
「拉致問題解決のための在日コリアン差別」
「拉致問題解決のための北朝鮮憎悪」
などを納得するように仕向けてはいないでしょうか。

(2)戦争状態を望むようになる
終末が来れば、”その後”は平和で幸福な状態になる。
だから、一刻も早く”終末がくればいい”=”戦争がくればいい”
最悪、”終末”到来のための自作自演までする場合もあります。
(これは「エホバの証人」がそうというより、
終末思想に特化したカルト宗教に見られる傾向。
オウム真理教地下鉄サリン事件を思い出してください。
ハルマゲドンの自作自演)
 
「個人的な喧嘩にしても、国家間の戦争にしてもその根本にあるものは、
自分の利益の最優先、そして自分だけが正しいという主張、
そして、相手は生きる資格のない極悪人であるという思い込み等です。
戦場に送られる兵士の教育は、
相手国の人間を徹底的に憎むことから始まります。
相手を憎まなければ、殺せないからです。
こうしたことを考えると、戦争をなくすための最も重要なことは、
他国の人間との交流だと言えるのではないでしょうか。
相手を知りさえすれば、相手に対する偏見や先入観は必ずなくなります。
しかし、他国人との交流が禁じられ、
他国から発せられる情報が統制されるような事態になると、
再び、醜い裁き合い、憎み合いが始まるのです。」
(truth 162号)
だからこそ、敢えて外部との交流を制限、遮断することがあります。
現在の日本において、思い当たることはないでしょうか?

そして、なにより大事な事は、
戦争により、現世において終末のパラダイスへと行き着くことは、
100%ありません。
あるのは、殉教による死後のパラダイスか地獄だけ。
ということです。
先の戦争では、「玉砕・散華・英霊」等、
全滅、餓死、体がバラバラに吹っ飛ぶような死に方を
美しい言葉で誤魔化しました。
勿論、兵士、その家族に残酷な最後を語ることが辛かったから
という理由はあるでしょうが、現実を見えないようにしたことに変わりはありません。
どこかで戦争を望む人による、「すり替え」が行われているのです。

拉致問題に置き換えると→
・国交正常化は必要ない
・北朝鮮は極悪非道国家である
・北朝鮮のことを知ろうとするな
・北朝鮮は徹底的に痛めつけるしかない
・制裁強化、さらには、自衛隊による救出、
戦争しかないと思わせる、憎悪を煽る。
・救出が全く実現しそうもない、焦燥感、不満、鬱積を全て北朝鮮=悪に集約し
自分たちの正当化を図る
・家族会、救う会の言動は正しい、
国家が国民を武力救出することへの正当化へと繋げる
等々、探すまでもありません。
そればかり、と言ってよいでしょう。

自衛隊による救出を叫ぶ人は多く、
なんと、総理大臣が参加する国民大集会でも、そのような扇動が行われます。

そのことについては以前
「「拉致被害者救出には自衛隊の使用が必要」という人へ」
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-44.html
という記事を書きました。
そのような好戦的な人たちの意見には、一分の理もありません。

武力を用いての拉致被害者救出など、考えられないことです。
そのような主張をする人は、拉致問題をだしにして、戦争を望んでいるだけだ。
と断言致します。

(3)終末とは「何時(いつ)」のことなのか?→誰にも判らない
キリスト教で言えば、天地創造が始点、終末(神の国の到来)が終点です。
しかしながら、その終点が「何時」なのかは人は知ることができない。
(マルコ福音書13:32)
一部カルト集団は、終末を予想した年を設定します=予言(預言ではない)。
 そして予言が外れると、ごまかします。

 エホバの証人の「1975年」は近年では有名なものです。
 1975年に終末が訪れるので、財産を協会へ寄付、あるいは処分し、
 結婚も出産もしない、進学もしない、この世のことを整理して
 その日を待った信者は大勢います。
 しかし、何も起きませんでした。
 協会は、「我々は1975年に終末が来るとは言っていない。
断定はしていない。単に~と言っただけ。
 周りが勝手にそう解釈し、はずれたと触れ回っているだけ。」等と言い訳をしました。
 https://www.stopover.org/lib/Kanazawa/Shuen/chapter09.html

 もちろんそこで、協会を離れた信者もいました。
 しかし、離れた者は「霊的に低い」等と言い、残った人達も多くいます。

拉致問題に置き換えると→
「(救出が)何時とは、申し上げられないが、今が一番のチャンスと言える。」
「何時まで待てばよいとは申し上げられないが、解決に近づいている。」
「情報源は明かせないが、被害者は生きている。」
「被害者は、~と思っているに違いない。」
「被害者は、~というような最悪の状況に置かれており、今救出しなければ
 もう、身心ともに限界にきている。」
などと強迫観念を与えています。
※「取り戻すのは今」という決まり言葉を軸に、
救う会会長西岡氏の言説の変遷をたどったこともあります。
「救う会、会長西岡力氏の言説の変遷」
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-90.html

これらで、家族・善良なるボランティア・国民に期待を持たせ、希望を抱かせ、
恐れを与えて、心を縛っています。

しかし、それが「何時」なのかは全く曖昧なのです。
「いつまでも、チャンスだと言いながら何も成果はない。詐欺のようだ。」
という人達には、北朝鮮の手先、人としての情がない等の批判をし、
「仲間」から排除する。
私達も救う会時代に、異議を唱えると、よく言われました。
「分派活動はやめろ!」
「分派活動は北朝鮮を利するだけだ!」

「時間がない・残り少ない」という、切迫した感覚は、
家族や善良なるボランティアに
より一層”活動”に励むように仕向ける理由となるのです。

そして何よりも大事な事は、
その”活動”は「拉致被害者を救出する活動」ではないことです。
バッジを着けたり、署名を1千万筆以上集めて、何か成果はあったでしょうか?
全くありません。
では何の活動か?
もう既に述べましたので繰り返しません。

③カルト宗教とならないために
 ②では拉致の運動とカルト宗教「エホバの証人」を比較し、
類似性を指摘しました。

さて、それによって私達は
「このような問題を孕んだ拉致の運動など止めてしまえ」
と言いたいのではありません。
逆です。
「現実に沿ったかたちで」拉致問題を解決するべきだと思うのです。
「エホバの証人」が聖書を曲解しても、聖書に罪はないように、
拉致問題を曲解しなければよいのです。

だからこそ、このブログで繰り返し「全拉致被害者の即時一括帰国」という、
カルト宗教における終末のパラダイスのように現実味がなく、
だからこそ永遠にかなえられることのない、
救う会・家族会の目標を批判してきました。
地に足のついた拉致問題の解決は、
決して高らかな歓喜のラッパの音に包まれたものではあり得ず、
現実の痛み・苦味・苦しみを含んだものであるはずだからです。

たとえばそれは、拉致被害者が北朝鮮での家族との生活を壊したくない為に
帰国を望まない、日朝往来が可能になればそれで十分という選択をする場合、
又は拉致被害者が既に死亡している、という大変辛い現実も
無いとは言えないということも含みます。
しかし、それを認め、受け入れる気がなければ拉致問題の解決はありえません。

なぜなら、現実に余りにも長い「時間」が、既に過ぎ去ってしまったからです。
「時間」とはそういうものでしょう。
誰だってそのことは分かっているはずです。
なぜ「拉致問題における時間」のみがそれを逃れられるでしょう。
これまでに掲載したブログ記事にも、何度も
「人の命は永遠ではない」と申し上げております。

逃れようとして、たどり着くのは「パラダイスの蜃気楼」の下の生き地獄です。
大事な事は、生き地獄行きの道以外にも、道はあることなのです。
もちろんパラダイスではなく、現実の苦味を含んだものではありますが。
苦い現実と向き合った拉致問題の解決については、
「拉致問題の常識的な解決に向けて」
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-103.html
で以前書きました。
修正が必要な部分はありません。
常識的な解決に至る道筋はこの記事で全て述べてあります。

しかし「カルト宗教とならないために」という趣旨から、
「拉致問題と時間」の常識的なあり方について、
最後に触れておきたいと思います。

最初に述べましたが、
拉致被害者の家族が高齢化しているのは事実です。
時間がないのも事実です。
何に対して時間がないのか。
家族が元気なうちに、再会するための時間がないのです。

そう考えれば、現在一番時間がないのは、
入院中の横田滋さんという他ありません。

もちろん今すぐ横田めぐみさんに会わせることができれば、
それがベストの結果でしょう。
しかしそれは可能なのでしょうか?
その点ベターな選択として、先日
「横田夫妻とウンギョンさんとの面会」
http://serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-108.html
という記事を書きました。

これに批判はあるかもしれません。
ベストな選択でなく、ベターな選択ですから、批判の余地があるのは当然です。
しかし「全拉致被害者の即時一括帰国」以外認めない、
という救う会・家族会の空念仏は、病床で苦しんでいる滋さんに、
どんな救いを与えるというのでしょう?

「全拉致被害者の即時一括帰国」はオールオアナッシングの目標で、
オールが達成される可能性はありません。
そこにあるのはナッシングのみです。
そんな残酷な幕引きを認められないからこそ、
私達は救う会・家族会とその後ろにいる日本政府を批判しています。
ベターな結末を求めています。
このオールオアナッシングな救う会・家族会の主張に対する批判は
当ブログ「「全拉致被害者即時一括帰国」という欺瞞」
http://serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-71.html
をご参照ください。

だからここで言いたいのは、
もし、横田滋さんにベターな結末を用意する可能性がありながら、
それを妨げ、ナッシングで終わらせるようなことがあれば、
そのような選択をし、それを滋さんに押し付けた人たちは責任をとれ!
ということです。

責任をとるとはどういうことか?
救う会・家族会の役職者、そして拉致問題に関係した政府関係者は、全員辞任して、
今後一切拉致問題に関わるな、ということです。

その時に、自分達の責任を棚に上げ
「なんと残酷な北朝鮮!」というようなキャンペーンを展開してはならない、
次の高齢の拉致被害者家族に「時間がない」を引き継いだりしてはならない、
ということです。

「いのちと死、祝福とのろいをあなたの前に置く。
あなたはいのちを選びなさい。」申命記30章19節
人が発した呪縛に囚われてはなりません。
与えられた環境、条件の中で
何が「最良」なのかを考え、決断し、選ばなければなりません。

さあ、拉致問題のために残された「時間」は本当に少なくなりました。
救う会会長の西岡力氏は嫌韓活動で大忙しで、
救う会副会長の島田洋一氏は、ラグビーについてツイートしています。
にせ予言者から、私達は「時間」を取り戻さなければなりません。
限りある、そしてかけがえのない「一人の人間の命の時間」を。
スポンサーサイト



9/16国民大集会報告

救う会
09 /23 2019
9/16国民大集会報告

9/16に「全拉致被害者の即時一括帰国を実現せよ!」国民大集会に参加しました。
(動画は https://youtu.be/KvRHmXTTsoA )
短いセンテンスにできる内容は、極力、ツイッターで早めに報告致しましたが、
長文でないと伝えられないことは、この記事にてまとめることに致します。

今回の国民大集会は従来のものとは、非常に違ったものでした。

① 拉致被害者家族の訴えが、大幅にカットされる
まず今年の2回の国民大集会を比較します。
(以下、敬称略)

・今年5/19の国民大集会で、まとまった話をした拉致被害者家族
 横田早紀江・横田拓也・横田哲也・飯塚耕一郎・本間勝・有本明弘
・市川健一・増元照明・斎藤文代・松木信宏・松本孟・寺越昭男
・北野政男・内田美津夫・浜本七郎の15名

・今回9/16の国民大集会で、まとまった話をした拉致被害者家族
 飯塚繁雄・横田早紀江・曽我ひとみ・横田拓也・飯塚耕一郎の5名

なんと3分の1!

そして5/19の集会で訴えをされた家族のうち、
 横田哲也・本間勝・有本明弘・市川健一・増元照明・斎藤文代
・松木信宏・松本孟・寺越昭男・北野政男・浜本七郎の11名は、
今回の集会にも参加しているのです。
参加していますが、ただ名前を読み上げられて、起立して礼をするだけ。

いつも持ち時間を無視して、とうとうと持論をまくしたてる有本明弘氏が、
立ち上がり礼をした後、なかなか座ろうとしなかったのが、極めて印象的でした。
私も長年、国民大集会に参加していますが、こんなことは初めてです。

そして、話をしている5人の内訳は、
・飯塚繁雄・・・家族会代表としての主催者挨拶
・横田早紀江・・家族の訴え
・曽我ひとみ・・家族の訴え
・横田拓也・・・ミニシンポジウム
・飯塚耕一郎・・ミニシンポジウム
なので、「家族の訴え」というかたちで、独立した話をしているのは実質2人です。
15人の話が、2人になったのは、大変なことだと思いますが、
誰も指摘をしていないようです。

ところで上のミニシンポジウムです。
横田・飯塚両氏の他に、
救う会会長西岡力氏・司会の櫻井よしこ氏を交えた4人での構成になっており、
全体的にコーディネーターの櫻井氏のコントロール下にあるように、感じられました。

その中でこんなやり取りがあります。
櫻井よしこ 
「これからの日本が、本当に拉致被害者全員を一括して取り戻す。
それを実現するには、これから何を考え、何をしたらいい、
という風に感じていらっしゃいますか?」

横田拓也 
「家族を取り戻すには、一人一人に直接会って、
真剣な悔しい気持ち辛い気持ちを伝えることによって、
皆様の心を動かすことしかできない。」

飯塚耕一郎 
「伝える。この事件の悲惨さを伝えた上で、皆さんに理解して頂いて、
かの国から絶対被害者を返すんだと、そういう理解を得る、
というのが一番重要になっていると思います。」

一回の国民大集会の中で、全く矛盾したことが平気で行われています。
「伝える」ことが大事なら、「家族の訴え」をなぜ大幅にカットするのでしょう?
恒例の政治家の先生方の話は、全くカットされていないというのに!
黒岩祐治氏(北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会会長、神奈川県知事)などは
参加するたび、毎回毎回、映画「めぐみ-引き裂かれた家族の30年」の制作に、
キャスター時代に関わった、という話を延々としているというのに。

これは私の全く個人的な感想なので、賛同して頂く必要はありませんが、
「拉致被害者家族が、自分の考えを語る機会を奪うことで、
何ら結果を出せない安倍政権への不満が、万が一でも、語られる可能性を、
事前に摘み取ったのではないか?」
そんな風に感じられなくもありません。

皆さんはどう思われるでしょうか?

② 司会の櫻井よしこ氏の傍若無人な発言
司会の櫻井よしこ氏の傍若無人な発言は、今回始まったことではありません。
ある意味、昨年9/27の国民大集会の方がひどかったとも言えます。
(ご参考までに。 https://lite-ra.com/2018/09/post-4281.html )
しかし今回はミニシンポジウムの国民大集会のコーディネーターが加わった分だけ、
思う存分、持論を展開できる余地が広がったように感じられました。

ツイッターでお伝えしたものを再録します。
●「本日拉致の国民大集会に行ってきましたが、
司会の櫻井よしこ氏が、自分の持論をまくし立てる場面が、多々見受けられました。
立憲民主党の村上史好議員が
「我々の持てるあらゆる力を結集していきましょう」という話をすると、
「なぜあらゆる力の中に憲法改正が入っていないのでしょうか?」
「なぜ立憲民主党は憲法改正の論議を避けるのでしょうか?」
と司会なのに反論する。
すると会場から大きな拍手がわき、村上議員へのヤジも巻き起こる。
ヤジを自ら引き起こす司会もなかなかいないですね。」

●「再び拉致の国民大集会での櫻井よしこ氏の発言(司会なのに)
「感じるのはですね、日本人はこんな場面でおとなしくあってはいけない、
ということでありました。政府は一生懸命やっている。国民も家族も一生懸命。
その想いをどういう風に表現するか。
おとなしく穏やかな日本人も、心から怒っているんだということを、
何とか北朝鮮の指導者始め皆さん方に伝えていくことが、
私達国民のできることの一つだと思います。」

●「本日の拉致の国民大集会の終り頃(これがミニシンポジウム)
またもや司会の櫻井よしこ氏がとうとうと自説をまくし立てました。
長くなりますが、かなり危ない話ですので、是非読んでみて下さい。
「そしてとにかく安倍政権の下で、この拉致問題を解決するんだ、
という意味での一致団結。
そして安易な妥協は絶対にしないという固い決意。
これを私達国民が一生懸命に言い立てれば、政権に対する合意にもなりますし、
北朝鮮に対する圧力になっていくだろうと思います。」
「世界が大きく変わる中で、そして北東アジアが大きく変わる中で、
いいも悪いも含めて、拉致解決のたった一つのチャンスが目の前に来ている時に、
経済しか使えない。その他の手段を国家として使えない。
戦争したいと言っているのではありません。
外交そして交渉の背景には強さがないとだめなのです。(満場の拍手)
その強さといえば経済でもあり軍事力でもあります。
国民の何としてでも、我々が、我々の国が国民を守るんだという気概でもあります。
その意味でこれからの2年間安倍政権が続く中で、何としてでも、
この拉致問題を解決していかなければならない訳ですが、
安倍さんだけにお任せするのではなく、私達も一緒になって、
我々も戦力なんだとの気持ちで、
一緒にこの問題に取り組んでいきたいと思います。」
・・・これを最後まで読まれた方。あなたは櫻井よしこ氏の言う「国民」ですか?」

③ 拉致問題解決の主体は安倍総理ではない!?
実はこの珍説が、今回の国民大集会の全体を支配し、
櫻井よしこ氏を傍若無人な発言に駆り立てているように感じました。

●家族会会長飯塚繁雄氏の話から
「私たちには、こうしろというような話はできませんが、
政府を信じ、安倍総理を信じて、皆様の応援もいただき、
オールジャパンでお願いしたい。
色々な団体も関与していただいています。
オールジャパンで近々解決するという意気込みで、
これからも皆様のご協力を宜しくお願いいたします。」

●安倍総理の話から
「正に日本とアメリカ、この問題を解決していく上において、
完全に立場を同じくしているわけです。
 しかしもちろん、この問題を解決していく上においては、
大統領とともに国際社会の理解が必要であります。
先般のビアリッツ・サミットにおきましても、
G7のメンバー、少し入れ替わりがありましたので、
改めて拉致問題の重要性についてお話をさせていただきました。」
「しかしもちろん、この問題を解決していく上においては、
日本が主体的にこの問題に取り組んでいかなければなりません。
私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合っていく。
冷静な分析の上に、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動していく考えです。
 北朝鮮には、勤勉な労働力とそして豊富な資源があります。
しかし、それをいかしていく上においては、
北朝鮮に大きな決断をしてもらう必要があります。」
「拉致問題の解決のためには、正に日本国民が一致団結して、
全ての拉致被害者の一日も早い帰国への実現に
強い意志を示していくことが大切であろうと思います。
17年前の明日9月17日、あの17年前5名の方々が帰国することができたのも、
それに向けて国民の皆様が声を大きくして、一つにして、被害者を日本に返せ、
こう声を上げていただいた結果だろうと思っています。
 その声こそが国際社会を動かし、
そして北朝鮮を動かしていくことにつながっていきます。」

●櫻井よしこ氏の話から
②で引用しました。「安倍総理にばかりに頼るな国民よ」と言っているようです。

今年の6/1に当ブログで「拉致問題解決の主体は一体誰なのか?」
という記事を掲載しました。
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-100.html 
そこで描かれたのと同様に、今回も
主体はアメリカ・トランプ大統領。
主体は国際社会。
主体は北朝鮮・金正恩委員長。
主体は日本国民。
と言っているようです。

そして櫻井よしこ氏の発言
「安倍さんだけにお任せするのではなく、私達も一緒になって、
我々も戦力なんだとの気持ちで、一緒にこの問題に取り組んでいきたいと思います。」
に集約されます。

6/1の当ブログの記事では、以下のように書きました。
「まさに拉致問題解決の主体は、国民と北朝鮮へと投げかけられています。

そういうのなら、私達が主体になろうではありませんか。
そして
「私達は「全拉致被害者の即時一括帰国」など切望してなどいません。
現実的な方法で拉致被害者を救い出すことを切望します。」と、
はっきり言ってやろうではありませんか。
誰に?
拉致問題解決の主体を喪失した人たちに。」

「当ブログでも「新しい視点」以来、
繰り返し触れてきましたが、拉致問題の解決は普通にやれば、
別に難しいものではありません。
拉致問題を私物化し、解決不能にしている人たちに、
異議を唱えることから、再出発しましょう。」

私たちの力不足で、残念ながら、このような気運は高まっていません。
一方で今回の集会のように、
拉致問題解決は日本国民の熱意の問題だ。
解決しないのは安倍総理の下に一致団結して、
「全拉致被害者の即時一括帰国」を切望しない、日本国民が悪いのだ」
と言わんばかりの開き直りが、支援者だけが集まった密室で叫ばれ、
日本政府の公式見解になろうとしています。
「国民大集会」で賛同された!という口実の下に。

今、日本は大きな問題が数限りなく存在し、
拉致問題に目を配る余裕が、皆さん、なかなかないでしょう。
それは当然のことだと思います。
しかし、これは拉致問題に限った問題ではありませんが、
現政権は、皆の目の届かないところで、一部の関係者を使って、勝手に決議をし、
「国民の賛同を得た。今後これで進めていく。」
という手をよく使います。
そして忙しい国民に代わってチェックする、重要な役割を持っているマスコミは、
殆ど機能していないことはご存知の通りです。

だから「拉致問題のことばかり、くどいな」と思われる方もおられるでしょうが、
くどくても訴えなければならないと確信しております。

拉致問題解決の責任が国民に押し付けられ、
拉致被害者救出を口実に、国民の情を利用し、ナショナリズムを煽動し、
憲法改正・軍事強国化の口実・道具にさせられようとしている実情に、
是非、気づいていただきたいのです。

5/19 「全拉致被害者の即時一括帰国を実現せよ!国民大集会」報告(続き)

救う会
05 /21 2019
5/19 「全拉致被害者の即時一括帰国を実現せよ!国民大集会」報告(続き)

先日の国民大集会の報告で
「特定失踪者問題調査会の荒木和博代表は
「拉致は戦争です!」から好戦的な発言を連発。
「犠牲者が出ても」から「復讐を!」とまで言っていました。
全文が出たら、皆さん仰天されることと思います。」
と触れました。

すでにYouTubeにUPされていましたので、
核心部分を掲載したいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=Cvq4uuZB_WQ&feature=youtu.be 不穏な言葉は赤字で強調致します。
4分の話の中で、「戦争」と6回言っています。

「拉致は戦争です。北朝鮮から日本に対して仕掛けられた戦争であります。」
「単なる話し合いでニコニコと握手をして、笑って返ってくる問題ではない。
相手はそんなことではなくて、自分達は戦争をしているつもりで
日本人をかっさらっていったわけですから、
その人たちを取り返すためには、
こちらも戦争であるという覚悟をしなければならない。
これは別に弾を撃つという事だけではなく、それも入っていると思いますけど、
それだけではなくて、外交だろうが、水面下の交渉だろうが、
あるいは私達(特定失踪者問題調査会)が飛ばしている
北朝鮮への電波もそうですけど、
全てが弾丸であり全てがそのミサイルであり、
爆弾であるということであります。
自分達が命を失う覚悟を持ってでも取り返そうとしない限りは、
私は全ての拉致被害者を取り返すという事はできないだろうと思います。
で、日本は
それ(ブログ主註:自分たちが命を失う覚悟をもって取り返そうとする)が
いざとなればいくらでもできるものである。
この問題は北朝鮮が日本に仕掛けた戦争であってアメリカは関係がありません。
我々の戦争です。
我々が戦って取り返すしか方法がないという風に思っております。」
「この間北朝鮮の中で膨大な人たちが、日本人の拉致被害者もそうですし、
それから在日朝鮮人の帰国者、その日本人家族もそうですし、
そしてまた、今北朝鮮に住んでいるごく普通の
二千数百万の大部分が被害者である人たちが、
まさにですね、死んでいっている訳です。
その人たちのことを考えて、私はあえて言いますが、
復讐をしない訳にはいけない。
絶対にかたきをとってやる、という風に思っております。」

どう思われますか?
荒木和博氏は、ただの危ない一般人ではありません。
拓殖大学教授であり、予備役ブルーリボンの会代表、
元予備自衛官として自衛隊と関わりのある人物です。

何よりも「拉致被害者は認定の17人だけではなく、
他に数百人いる可能性がある」という説を、
まるで「拉致被害者は数百人いる」かのように広めている張本人としての、
特定失踪者問題調査会の代表です。
*一部の行方不明者を
「特定失踪者(北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者)」
として認定しているのは、日本政府ではありません。
「どこの機関」が、どのような基準で決定しているのかは、
判然とはしないのですが、
調査会の荒木代表が様々な「検証」をして決定しているようです。
・失踪する理由(借金他のトラブル)がない、
・遺留品が本人とは無関係の場所にあった
・遺留品が北朝鮮の工作員が出入り可能な海の近辺にあった
等の状況から決めているようです。

特定失踪者問題調査会は民間の団体ということになっていますが、
日本政府とも強いつながりがあります。
引用文中に
「私達(特定失踪者問題調査会)が飛ばしている北朝鮮への電波」
という部分がありますが、
これは国民大集会で菅官房長官兼拉致問題担当大臣が言っている、
「また特定失踪者問題調査会とも連携をしながら、
北朝鮮に向けたラジオ放送を行っていますが、
今後もその強化に取り組んでいきます。」
に対応するものです。資金的援助も含みます。
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6941.html

日本政府と強いつながりがあり、
国民大集会で壇上に立つ資格のある人物が、
このような演説をしている事実を考えると、
例の丸山穂高議員が「絶対に議員辞職をしない」と言っているのも、
ほんの少し分かるような気がします。
「戦争で取り返す」と大学教授が国民大集会で公言して、
拍手喝采を浴びているのですから、
「なんで俺だけ責められるのか!」と思うでしょうね。
「日本政府の中枢部の人たちは、
みんな本当はそう思っているのではないか!」

皆さんはこの発言を見過ごしますか?
特に後半の
「今北朝鮮に住んでいるごく普通の
二千数百万の大部分が被害者である人たちが、
まさにですね、死んでいっている訳です。
その人たちのことを考えて、私はあえて言いますが、
復讐をしない訳にはいけない。
絶対にかたきをとってやる、という風に思っております。」
の部分は、確かに悲惨な体制下にある人達が解放されることは
誰もが望むことですが、内政干渉であり、
侵略を示唆しているものと問題視される発言ではないでしょうか。
百歩譲って、救出の強い意志を示すものだと考えることが
できる、と言えなくもないかもしれません。
しかし、それを上回る過激さであり、言質を取られれば
日本側が不利になると言えるでしょう。
根本にある考え方としては、
北朝鮮に対する不信、憎悪ではないのでしょうか。

特定失踪者問題調査会についてよく知らない人のために、
当ブログ内の記事を紹介します。
「特定失踪者問題調査会という組織」
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-59.html
「続 特定失踪者問題調査会という組織」
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-68.html
「続続 特定失踪者問題調査会という組織」
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-76.html

又、ご存知の方もおられるでしょうが、
「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない」行方不明者の一人が、
国内で発見されたとのニュースがありました。
「千葉県警、拉致疑いの男性を発見 50代、国内で」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190520-00000043-kyodonews-soci
併せてご覧ください。
このように、「北朝鮮による拉致の可能性」のある
特定失踪者と言われる人達の中には、
日本国内で発見される人が毎年数人います。
このことが、政府に拉致被害者認定してほしいとの要望が
叶えられない大きな要因となっていると思われます。
北朝鮮側に特定失踪者を含む
拉致の可能性を排除できない人たちのリストを渡し
共同で精査をする必要があると考えるのはその為です。

5/19 「全拉致被害者の即時一括帰国を実現せよ!国民大集会」報告

救う会
05 /20 2019
5/19 「全拉致被害者の即時一括帰国を実現せよ!国民大集会」報告

5/19の国民大集会に出席しました。
数日後には救う会自身の手で、動画がYouTubeにUPされ、
文字起こしされた文章が救う会HPに掲載されるでしょうが、
メモをもとに、かいつまんでの報告を致します。

開会は14時。
10分前に会場の永田町のシェーンバッハ・サボーに着く。
皮肉なことに、すぐそばの議員会館前では、
総がかり行動実行委員会らが「安倍9条改憲NO!」集会を行っている。
そのせいか分からないが、会場の内外にいるSPの数が、
今までで一番多かったように感じた。

印象①
前回の国民集会ほど、あからさまな安倍礼賛大会ではありませんでした。
一方で、今まで政府に提出されてきた署名1340万筆分の
署名用紙の入った段ボール箱を会場の片隅に積み上げて、
「私達の行動は、日本国民全体の支持を受けているのだ」
と事々に強調していました。
(例)
安倍総理:「大切なことは拉致問題の解決のために
日本国民が一致団結し、全ての拉致被害者の一日も早い帰国の
実現への強い意志を示していくことだ。
その声こそが国際社会を動かし、
そして北朝鮮を動かしていくことにつながる。」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190519-00000539-san-pol

櫻井よしこ(司会):「総理がおっしゃったように、
国民みんなが心を一つにして、(拉致被害者)家族を支え、
被害者のことを考えることが大事な局面です。」

決議文より:「本日、平成9年から政府に提出されてきた
拉致被害者救出を求める署名1340万筆を超える現物を、ここに展示した。
この国民の声を背景に政府はなんとしても
全拉致被害者の即時一括帰国を実現させてほしい。」

印象②
とにかく、演壇に立つ人立つ人、日米共闘の話ばかりします。
日米共闘の話をした人
・安倍晋三内閣総理大臣
・菅義偉官房長官兼拉致問題担当大臣
・古屋圭司拉致議連会長
・山谷えり子自民党拉致問題対策本部長
・原口一博国民民主党国対委員長
・東徹維新の会拉致対策本部長
・横田拓也家族会事務局長
・飯塚耕一郎
・有本明弘
・市川健一
・寺越昭男
時々、「もちろん日本政府が先頭に立って、
拉致問題解決に取り組むのはもちろんでございます」など言いますが、
「あれだけアメリカ任せのことを言っておきながら、白々しい」
としか思えませんでした。

印象③
拉致被害者家族に、全てアメリカに、暴力的にやってもらおう、
と放言する人がいた。
(例)
有本明弘氏「トランプ大統領と来週、もう一度面会することができるのです。
トランプ大統領から金正恩に、北朝鮮は親子三代に渡って(聞き取れず)
であることを指摘し、平和国家に生まれ変われ!そうしなければ命がない!
と強い口調で諭して頂ければ、金正恩も生き延びる道を必ず選ぶはずです。」
寺越昭男氏「今度トランプ大統領にお会いした時、
実力行使をお願いしようと思います。」

印象④
その一方で拉致被害者家族の多くの人が、
「今までのことを感謝します」「健康が一番です」
「長生きできるかわからない」
などと余り期待を持っていないような話をしていた。
(例)
横田早紀江さん「感慨無量。長い年月支えてくださった皆さんに感謝したい」
松本孟氏「昼食の時総理とお話ししましたが、
拉致問題は簡単にはいかないものだということが
、しみじみ分かってきました。」
※司会の櫻井よしこ氏も
「拉致問題は簡単にはいくものではありません」と言っていた。

印象⑤
丸山穂高議員より好戦的な聴衆、拉致問題関係者。
(例)
・維新の会の東徹議員が登壇されると、
「侵略者に謝ってるんじゃねえぞ!」 とのヤジがとぶ。
どうやら丸山穂高議員の暴言の件で、
「謝罪したこと」を責めているらしい。

・特定失踪者問題調査会の荒木和博代表は
「拉致は戦争です!」から好戦的な発言を連発。
「犠牲者が出ても」から「復讐を!」とまで言っていました。
全文が出たら、皆さん仰天されることと思います。

署名をしたことで、私達国民が彼らに白紙委任状を渡した、
と解釈されるのは心外である、
というのが今回の主な感想です。

拉致問題と東京オリンピック

救う会
05 /10 2019
拉致問題と東京オリンピック

東京を歩いていると、「東京オリンピックまであと〇〇日」
という表示が目につきます。
開会式は2020年7月24日ですから、あと1年数カ月。
決して遠い未来の話ではなく、もうすぐそこまできています。

ところで、
東京オリンピックにおける北朝鮮の状況については、
一体、現在どうなっているのでしょうか?

2019年1月31日の第104回東京連続集会で以下のような話がされました。

本間 勝(田口八重子さん兄) 
 そういう大きな節目があって立ち直りができるんだぞということを、
2020年に東京オリンピックがありますよね、
オリンピックは平和の祭典ですが、
そういう中で拉致被害者を解放しない。それが平和なんですか。
そして人権をどう考えているんですか。
もう世界にアピールできるんですよ。

 そういうことを金正恩に分からせれば、
「そうだな。まずいな。オリンピックの前に返しちゃおう」、
「亡くなった方には申し訳ないけれど遅くなってごめん」
と、そういうような形で返せばいいわけなんですよね。

 今後は、2月の家族会・救う会の会議で運動方針を詰めていきますが、
そういうことも考えてもいいじゃないですか、西岡さん。どうですか。
以上です。ありがとうございます(拍手)。

西岡 力(救う会会長) 
オリンピック憲章に北朝鮮が入っていますが、
北朝鮮の体育大臣が来ると言っていましたので、
基本的には北の公務員の入国は認めないんですが、例外として認めた。
しかし、それ以外の活動をすることは禁止でしたが、
日本体育大学に行くという日程があることが分かりました。

 そしてそこに自民党の大物政治家が行くのではないか
という情報が流れていました。
また日本体育大学では、
学生たちに北朝鮮の国歌を練習させていたようです。
私立の学校ですが、文部科学省と外務省から、
枠組みが決まっていて入国を許可した。
それは外の活動をするなということだという話をした結果、
前日まで行くことになっていたのです。

 私は色々なところに電話をして、
「なぜこんなことを許すのですか」と言ったら、止まりました。
オリンピックは政治を持ち込まないということになっていることと、
制裁とをどう整理するかをオリンピックに向けての課題の一つとして
考えなければいけないことだと思っています。

 もちろん過去に、アメリカを初め西側の諸国が、
ソ連がアフガニスタンに侵攻した後、
(モスクワオリンピックを)ボイコットをしたことがありました。
政治がまったく関係ないということではないんですが、
我々ができることとして東京オリンピックを返上するのか、
そういうことまで考えるかどうか、色々なことを考えなければと思いますが、
北朝鮮代表が歓迎を受けて来れるような雰囲気に
なってほしいと私も思いますし、
そういうことを実現するように
圧力をかけていかなければならないと思っています。
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6861.html
どうにもかみ合っていない、分かり辛い話です。

救う会・家族会が、
「我々ができることとして東京オリンピックを返上するのか、
そういうことまで考えるかどうか、色々なことを考えなければと思いますが」
などと本気で考えているとすれば、傲慢とか言うレベルをはるかに超えています。
国家行事として決定事項となっていることを、
一民間団体の意向で「返上」が可能であると考えているとは驚きです。
仲間内では、自らが日本の支配者であるかのような、話をしているのですね。

調べてみると、北朝鮮の東京オリンピック参加は、
3月31日に正式決定しています。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/2020ioc.php
そしてその前の3月28日に、
IOCは東京オリンピックに向けての韓国・北朝鮮の南北合同チームの結成や、
開会式での合同入場行進を承認しています。
world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=71583
何らかの行動を起こすなら、この時だったと思うのですが、
救う会も家族会も何も言っていません。
認めたという事なのでしょうか?
オリンピックは政治を持ち込まないということになっていることと、
制裁とを整理はできたということでしょうか?
もし、開催直前になってから、問題視するようになるのでは、
韓国やIOCまで巻き込んだ外交問題になりかねません。

西岡氏の発言の中に、日体大と北朝鮮の体育大臣についての、
意味がとりにくい話があります。
どうやら2018年11月27日の、
北朝鮮の金日国体育相の来日のことを言っているようです。
https://www.asahi.com/articles/ASLCW5J2KLCWUHBI01L.html
日体大への訪問をやめさせた件については以下の記事がありました。
「スクープ!異例入国の北朝鮮幹部が極秘接触した「元政治家の証言」」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58754 元政治家というのは、
松浪健四郎元衆議院議員(自民党)・現日体大理事長のことです。

記事によると、日体大訪問中止の件は以下のようになっています。
「もともとその時間には、
金が日体大を視察する予定が極秘裏に組まれていた。
だが、その情報をつかんだ日本政府は、
国交のない国の閣僚の「単独行動」は思わしくないと見たのか、
外務省と文部科学省は当日朝になって日体大に対し、
文書で中止を要請。理事長の松浪も移動中の車内で連絡を受け、
土壇場で中止を決めた。」

また続くインタビューの中で、以下のようなやり取りがあります。
Q:「今回、金大臣が「お忍び」で日体大を訪問する予定でした。
 土壇場で中止となりましたが、その経緯について教えてください。」
A:「われわれから体育大臣に、
 来日時にわが大学への訪問を要請しました。
 しかし、朝鮮総連のスポーツ担当からは
 「99%、不可能だ」と断られました。
 体育大臣の一挙手一投足は、向こうに報告しなければならない。
 だから難しい、と。それでも、もう1回、プッシュしてみました。
 こんどは朝鮮総連の中でも、国際局長を通しました。
 それだと北朝鮮の外務省に直に伝わる。
 その結果、来日1週間前に訪問する予定が決まりました。
 4回も学生を平壌に連れて行っている実績もありますから、
 誠意が伝わったのでしょう。
 もちろん、「国のトップ」も了解済みで、
 わが校訪問が決まったと思います。」

なぜか、問われていることの中で、
答えているのは日体大訪問に至る経緯の話だけで、
土壇場で中止の経緯については答えていません。

西岡氏は先の話で、「私は色々なところに電話をして、
「なぜこんなことを許すのですか」と言ったら、止まりました。」と言っています。
事実がその通りだとすると、土壇場で中止になったのは、
西岡氏の電話が原因の一つということになります。
私達はこのような水面下の行動は、大変問題なのではないかと考えます。

松浪氏は、インタビューで全てではありませんが、
経緯についてきちんと語り、自分の考えも述べています。
それに対して反対するのであれば、
その際、救う会の見解を、公に堂々と示すべきではないでしょうか。
電話で済ました上で、一般人の眼に触れることのない拉致の集会で、
曖昧なかたちで語るのではなく。
これではただの嫌がらせではないですか?

東京オリンピックの北朝鮮参加の件は既に決定済みです。
それを拉致問題の立場から問題視するのであれば、
現時点ではっきり救う会・家族会の見解を公表し、
必要であればボイコットなり返上なりを、公に訴えるべきでしょう。
拉致問題は国民運動だと称しており、
今までに多くの国民の協力を得ているのですから。
オリンピックは国家行事であり、
国民の中には賛否はあれど、
開催を楽しみにしている人達もいるのですから、
それが最低限の礼儀と思います。

東京オリンピック開催前後には、日朝間の人の行き来は、
かつてない規模になるはずです。
その際に、来日した人の一挙手一投足を監視し、
指定された場所にカンヅメにするべきなのでしょうか?
詳しいことは知りませんが、従来のスポーツイベント時は
それで済んでいたのかも知れません。
しかし南北合同チームが現実的になるとすれば、
同チームの韓国メンバーの行動はフリーで、
北朝鮮メンバーの行動は監視付きということになる可能性もあります。
これは問題なのではないでしょうか。

西岡氏の発言は、
「北朝鮮代表が歓迎を受けて来れるような
雰囲気になってほしいと私も思いますし、
そういうことを実現するように
圧力をかけていかなければならないと思っています。」
で締められています。
一体、どこにどのような圧力をかければ、
「「北朝鮮代表が歓迎を受けて来れるような雰囲気になる」のでしょうか?
「なぜこんなことを許すのですか」と電話して、
圧力かけた当人がよくもまあそんなことを、と呆れてしまいます。

「北朝鮮代表が歓迎を受けて来れるような雰囲気になってほしい」
と本気で考えているのであれば、関係者への電話などで物事を進めるのは、
一番悪いやり方です。
まずは自分達の意見を、
東京オリンピックに関わる日本政府・日本国民・北朝鮮などに、
そして世界に明確に示し、その上で行動すべきではないでしょうか。

疑いの目で来日した北朝鮮の関係者を、
大会終了まで監視し続けても、拉致問題は一歩も進みません。

私個人としては、拉致問題の解決を望むのであれば
まずはオリンピック参加の際の折衝を通して、
信頼関係を醸成し、
相互の固定的な窓口を作れるようにするのが得策なのではないか、
と思います。

しかし、彼らのしていることは内輪の集会で、
オリンピックという場を「利用」して、
北朝鮮に「更なる圧力」という名の嫌がらせをしたことを、手柄のように語る、
参加者に阿るような発言となっています。
オリンピックを契機に対話の糸口を探そう
というような前向きな意向は見られません。
彼らは一体何をしたいのでしょうか?
集会が目的化し、そこで参加者の意向に沿った
”過激”な発言をすることだけが目的のように見えてしまいます。

結局今年の救う会・家族会の行動方針では、
東京オリンピックのことは一言も触れられていませんでした。
どのような意見を持つにしろ、オリンピック開催まであとわずか。
その時、どのような行動をとるかについては、
先送りにする猶予はありません。
今すぐ決めないといけないのです。
それが、多くの国民を巻き込み、
協力を得て来た拉致問題に関わる人々の務めです。


相手を嘘つき呼ばわりすることについて

救う会
05 /08 2019
相手を嘘つき呼ばわりすることについて

巷では『アベンジャーズ/エンドゲーム』という映画が、
世界的大ヒットをしているそうです。
一方、ミニシアターで細々と上映されている『主戦場』が、
一部で大変な反響を呼んでいます。
私は、『主戦場』を観にいきました。

『主戦場』を知らない人のために、パンフレットから、紹介文を転記します。

「ひっくり返るのは歴史か、それともあなたの常識か

あなたが「ネトウヨ」でもない限り、
彼らをひどく憤らせた日系アメリカ人YouTuberのミキ・デザキを、
おそらくご存知ないだろう。
ネトウヨからの度重なる脅迫にも臆せず、
彼らの主張にむしろ好奇心を掻き立てられたデザキは、
日本人の多くが「もう蒸し返して欲しくない」と感じている
慰安婦問題の渦中に自ら飛び込んでいった。

慰安婦たちは「性奴隷」だったのか?
「強制連行」は本当にあったのか?
なぜ元慰安婦たちの証言はブレるのか?
そして、日本政府の謝罪と法的責任とは……?

次々と浮上する疑問を胸にデザキは、
櫻井よしこ(ジャーナリスト)、ケント・ギルバート(弁護士/タレント)、
渡辺美奈(「女たちの戦争と平和資料館」事務局長)、吉見義明(歴史学者)など、
日・米・韓のこの論争の中心人物たちを訪ね回った。
さらに、おびただしい量のニュース映像と記事の検証と分析を織り込み、
イデオロギー的にも対立する主張の数々を小気味よく反証させ合いながら、
精緻かつスタイリッシュに一本のドキュメンタリーに凝縮していく。
そうして完成したのが、
映画監督ミキ・デザキのこの驚くべきデビュー作、『主戦場』だ。

映画はこれまで信じられてきたいくつかの「物語」にメスを入れ、
いまだ燻り続ける論争の裏に隠された
“あるカラクリ”を明らかにしていくのだが——それは、
本作が必見である理由のごくごく一部に過ぎない。

さて、主戦場へようこそ。」

つまり慰安婦問題についてのドキュメンタリー映画です。

観て来た感想は、言わないでおきましょう。
このブログは慰安婦問題を語る場ではありません。
拉致問題を語る場です。

それならなぜ『主戦場』について語ろうとしているかというと、
タイトルの「人を嘘つき呼ばわりすること」について、
慰安婦問題と拉致問題で、通じる部分があるように思えたからです。

 ※ところで、慰安婦問題と拉致問題は、あながち関係がない訳ではありません。
 救う会会長の西岡力氏はとても熱心な慰安婦問題の「否定論者」であり、
 2015年に慰安婦問題・拉致問題の「功績」によって
 「正論大賞」(フジサンケイグループ主催)を受賞しているくらいです。
 https://www.sankei.com/life/news/150529/lif1505290029-n1.html
 昨年、受賞理由となった「功績」での捏造を認めているのですが・・・
 www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2018/09/26/antena-332/

 また、監督のミキ・デザキ氏(男性です)はインタビューで以下のように言っています。
 「西岡力さんは、後半に取材する予定でしたが、
 書籍で読んだ彼の主張はすでに取材をした他のナショナリストの方と
 重複する内容が多かったので必要ないと判断しました」

 一方、拉致被害者増元るみ子さんの弟増元照明氏は、
 映画でも「否定論者」としてでてくる「なでしこアクション」に、
 応援メッセージを寄せています。
 nadesiko-action.org/?page_id=637
 チャンネル桜に番組を持っているくらいですから、当たり前なのですが。
 あと、映画の登場人物に、
 大勢ブルーリボンバッチをつけている人がいるのも、印象的でした。

2018年9月23日の国民大集会で、
横田哲也氏(横田めぐみさんの双子の弟)は、
「歴史を紐解けば、北朝鮮も南朝鮮も息を吐くように平気で嘘をつき、
裏切り行為をしているような国であります。」と言いました。

『主戦場』でも「否定論者」の人たちは、存分に南朝鮮=韓国の人たちを
嘘つき呼ばわりします。
「証言だけで証拠がない」「証拠文書がない」「以前の証言と食い違いがある」・・・
そして「韓国には、嘘をつく方よりも、騙される方が悪い、という文化がある」
    (※記憶で書いているので、発言そのものではありません)

映画では早速韓国の繁華街に出て、歩く若者達に片っ端からインタビューします。
「嘘をつく人と、それに騙される人と、悪いのはどちらでしょうか?」
答えは100%。
「嘘をつく人が悪い。」

西岡力氏は著書『横田めぐみさんたちを取り戻すのはいましかない』で、
ウソという言葉を連発します。

「だが金正日は、そのとき新たなウソをついた。
それも二つのウソをついた。
第一は、「拉致したのは13人だけ」というウソだ。」
「二つめのウソは、「8人死亡」という主張だった。」
「日本政府は、この二つのウソを認めていない。
読者諸兄にお願いしたいことがある。
いま現在、日本政府が北朝鮮に突きつけている
「反論」の内容をぜひ確認していただきたい。
拉致問題対策本部は「北朝鮮側主張の問題点」というパンフレットをつくり、
またウェブページでも同じ内容を公開している。
その冒頭で日本政府は、以下のように堂々たる反論を行っている。」
https://www.rachi.go.jp/jp/mondaiten/index.html

これが「堂々たる反論」かは、意見が分かれるところでしょう。
見て頂けばお分かりのように、「証拠のない証言」が多く根拠として用いられています。

「証拠のない証言」については、政府のウェブページでは用いられていませんが、
有名な亡命工作員・安明進氏の証言があります。
救う会HPの
「基礎知識 -めぐみさんたちは生きている!
「8人死亡」という嘘-」(ここでも嘘!)
を見てみましょう。
www.sukuukai.jp/index.php?itemid=1068

その中の
「2.生きていることを証明する数々の証言」の3項目のうち、
2つは安明進氏の証言です。
その安明進氏の証言の信ぴょう性については、
ウィキペディアですら疑問符をつけられています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/安明進

私は「慰安婦問題否定論者」「救う会・家族会」の方が
嘘つきだと言いたいのではありません。
証拠がないだけで、その証言が嘘か本当かについては判断できないからです。

言いたいのはどちらのサイドであれ、
「証拠がない」「文書がない」ということで、
相手を嘘つき呼ばわりすることは得策ではなく、
大抵そのまま自分に返ってくるという事です。
いやそれだけではなく、頭ごなしに嘘つき呼ばわりすることで、
議論・コミュニケーション自体が不可能になってしまいます。

実はこの記事で言いたいのは、嘘つきと言うことによる、
議論・コミュニケーションのための場の破壊のことなのです。

『主戦場』の大きな特徴としてミキ・デザキ監督は以下のように語ります。
「「新しい」と感じるのは、
私のこの問題への最初のアプローチが
これまでの作品の監督と違っていたからではないでしょうか。
わたしがこの映画を論戦を交えさせるような構成にしたのは、
映画を作っている間に私がした体験を、
観客の皆さんにも一緒に体験してほしいと思ったからです。
私は制作過程で、この問題に関して影響力のある
多くの人物に話を聞きました。
おそらくこの方たちは、同じ場所に座って議論をすることは
ないだろうと思います。
なにせ、率直に言って、彼らはお互いをひどく嫌い合っていますから。
ある意味、論争の場は私の頭の中にあったと言えるでしょう。
否定論者と慰安婦を擁護する側の双方が、
自分たちの視点が正しいと私を説得しようとしていましたから。
映画を観てもらうことで、
皆さんの頭の中も論争の「戦場」になるでしょう。」

お互いをひどく嫌い合っているから、同じ場所に座って議論しない、
というのは、真実を求める態度として、褒められたものではありません。
自分の視点が正しいとの確信があるのなら、
まず反対の立場の人と論争すべきだと思います。

それができない大きな理由の一つが、先に言いました、
「議論・コミュニケーションのための場の破壊」であり、
確実な根拠もなく、相手を嘘つき呼ばわりすることなのではないでしょうか?

 ※当ブログでも嘘を指摘している部分はありますが、
 それらは確実な根拠があるもの、
 本人の他の発言と明らかに矛盾しているものに限っています。

逆に言えば、
慰安婦問題や拉致問題で相手を嘘つき呼ばわりすることの本質は、
真実を求めることが目的ではないからではないか、
「議論・コミュニケーションのための場の破壊」こそが目的、
「排除」が目的なのではないか、
そう思います。

日本・韓国・北朝鮮の間に問題があるのなら、
解決のために努力する、
そのためにも、事実・真実を明らかにするために対話をする、
普通はそうするのではないでしょうか。

しかし慰安婦問題・拉致問題では、「この嘘つきめ!」と決めつけ、
憎しみを煽り立て、お互いを「排除」する方向ばかりを志向しているように感じます。

なぜでしょう?

映画の後半で、朝鮮戦争以降、日本再軍備の切り札として、
当時のアメリカが岸信介を抜擢するシーンが入ります。
そして岸信介の孫である安倍総理は
「日本の誇りを取り戻す」と称して、
まるで戦前・戦中の日本が
なんの過ちも欠点もない立派な国であったかのような言動を繰り返すのです。
それを喝采するのは日本会議に属する多くの閣僚たち・・・
一方で「慰安婦問題なんか知らないよ」と笑う日本の若者たちの姿。
もちろんこれは、若者が悪いのではありません。
若者が「慰安婦問題」について知る機会を奪ったのは誰か?

これらが非常に複合的に、そして確信犯的にすすめられる様子が、
軽快なテンポで重ねられる映像とナレーションのモンタージュで、
観客である私達の頭の中で、立体的に浮かび上がってきます。
可能な方は、是非劇場でご覧になって下さい。
この記事で触れられたこと程度は、ネタバレのうちに入りません。

映画のラストで日系アメリカ人2世の監督はこう語ります。
「私達の国(アメリカ)の戦争に、加わることになっていいのですか?」

私達も拉致問題の視点から、以前、アメリカの戦争に加わることについての懸念の記事を書きました。
「拉致問題と憲法第九条(上)」
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-51.html
「拉致問題と憲法第九条(中)」
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-50.html
「拉致問題と憲法第九条(下)」
http://serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-49.html
改めてご覧頂ければと思います。

安易に相手を「嘘つき」呼ばわりして
「議論・コミュニケーションのための場の破壊」をせず
拉致問題でも、皆さんの頭の中を論争の「戦場」にして下さい。
戦場は、頭の中だけで充分です。

救う会・家族会の行動方針に見る「怠惰」

救う会
05 /01 2019
先日「救う会会長、西岡力氏の言説の変遷」という記事を掲載しました。

最初は記事にするつもりはなく、
「西岡氏は、いつも同じことを言っているな。ちょっと調べてみよう。」
と個人的なデータベースとして活用するつもりで、抜き書きを始めてみました。
すると「なんだこれは!」と唖然・呆然とする内容になってしまい、
急遽記事としてまとめた、という次第です。
自分でも勉強になりました。

その後、「他にも同じようなことがあるのではないか?」と考えました。
思い当たったのは、毎年初頭に制定される「家族会・救う会の運動方針」です。
毎年読んでは、まるでコピペだな、と思っていました。

そこで、
特に第二次安倍政権成立直後の2013年の行動方針と、今年2019年の行動方針、
激動の6年を隔てた二つの行動方針を、試しに比較してみました。

以下に、2019年の行動方針を転記(前文は省略。具体的行動部分のみ転記)し、
2013年の行動方針と重なる部分は赤字で示すこととします。
2013年の行動方針 www.sukuukai.jp/mailnews/item_3342.html
2019年の行動方針 www.sukuukai.jp/mailnews/item_6870.html

それでは比較を始めます。

家族会・救う会の2019年の行動方針

家族会・救う会は今後、
「これ以上待てない! 全拉致被害者の即時一括帰国を実現せよ!」
をスローガンに、全力で救出運動を続ける。

 私たちは今後も拉致問題を先送りしようとする策動に反対し、世論喚起と国際
活動、情報収集などできうる限りのことを行う。
以下の4点を重点項目とする。

1 ブルーリボン普及
2 アニメ「めぐみ」学校上映拡大
3 被害者一人ひとりに思いを寄せる活動
「熊本の拉致被害者 松木薫さん(パンフレット)」(熊本県)
「県内版拉致問題啓発小冊子(マンガ)」(鳥取県)
「母が拉致された時僕はまだ1歳だった―北朝鮮拉致ドキュメンタリーコミック」
双葉文庫
全国協議会作成、被害者の思い出パネル
4 「平成14年の北朝鮮の主張の問題点」に関する学習と啓発

 その上で、わが国政府および世論への訴え、国際連携の強化、北朝鮮内部への
働きかけと情報収集活動、政府未認定拉致被害者についての取り組みなどにつき、
以下の運動を行う。

1.わが国政府および世論への訴え

・政府に救出のための戦略、戦術、道筋を具体的に明示するよう強く求める。
※2013年は「政府に定期的な面会を求め、取組み計画とその具体的対応、
進捗状況を確認する」ですが、意味は全く同じと判断します。
・大集会、小規模集会、学習会、街頭活動、署名活動、デモ、座り込みなど全て
 の手段を使って、全力で政府と世論への働きかけを行う。
・国民大集会を、家族会・救う会・拉致議連、
知事の会(北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会)、
地方議連(拉致問題地方議会全国協議会)の5団体主催で5月に開催する。
また今年2回目の国民大集会も実施する。
・署名活動を継続する(平成31年2月15日現在、12,894,948筆、
昨年より686,885筆増加)。
※2013年は「早急に1000万署名を達成する。(昨年2月合同会議時855万筆、
現在982万筆)」ですが、意味は全く同じと判断します。
・各党拉致対策本部、知事の会、地方議員連盟などと連携を強め、
オールジャパンの世論形成を継続する。
・地方議会が拉致問題で意見書採択を行うよう求める活動を継続する。
・ブルーリボン運動を拡大する。
・根拠なく被害者死亡説を主張する国内の政治家、言論人、
学者らを強く批判する。
・国家犯罪である拉致問題と他の人道問題を同じに扱うことに強く反対し、
拉致被害者救出の最優先を訴え続ける。
・北朝鮮急変事態時などの緊急事態に備えて、
救出プラン作成とそのための法的枠組み作りを求める。
・米国をはじめとする各国政府が北朝鮮により強い圧力をかけるように、
日本政府の一層の外交努力を求める。
・拉致問題を理由とした追加制裁を求める運動を継続する。
・金融制裁を可能にするいわゆる「日本版テロ国家指定制度」の
拡充強化を求める。
・北朝鮮人権法改正に向けて働きかけると同時に、新たに拉致問題が明記された
人権教育・啓発基本計画等を効果的に活用しながら様々な取り組みを進めていく。
・アニメ、DVD、
国連の北朝鮮人権報告書等を活用して学校現場等で拉致問題を
 より多く取り上げるように働きかける。
・朝鮮総連の活動を厳しく取り締まることができる新法制定を求める。
・朝鮮学校に対する自治体補助に対して、拉致に関する教育内容の観点などから
 反対する。各自治体への運動を継続強化する。
朝鮮大学校の各種学校認可取り消しを求める運動を行う。
・朝鮮総連の違法行為をより厳しく取り締まることを求める。
総連中央が競売された中央会館に居座る問題について、
その不明朗さを追及する。拉致問題解決に取り組まない朝鮮総連の
資金集め活動などへの抗議を行う。総連系歌劇団公演に地方自治体が
後援をすることに反対する。
・よど号グループ関係者への旅券返納命令のほか、
日本人拉致に直接的間接的に関与した者に対する法的措置の
早期実現を求めていく。

2.国際連携の強化

・米国トランプ政権へ拉致問題の深刻さと被害者救出への協力を求める働きかけ
 を行う。金融制裁強化を求めていく。
引き続き、米議会内外の保守派との連携を強めていく。
米国トランプ政権に対し、歴代米国政権が北朝鮮に騙され続けてきたことを踏まえ、
宥和的でない外交を展開するように働きかける。
・北朝鮮における人権状況に関する国連調査委員会の報告書を最大限活用し、
諸外国の家族とも協力し、拉致の非人道的実態を国際社会に広める。
報告書を根拠とし、国連安保理事会が新たに北朝鮮に対してかける制裁の理由に
拉致を含む人権問題を加えさせるよう働きかける。
政府にもその外交努力を促す。政府に、安保理事会を通さず
独自で国際刑事裁判所に拉致の責任者を訴追することについて
積極的な検討を求める。
・韓国、タイ、ルーマニア、米国等の家族との連携を継続する。
フランスをはじめとし、まだ家族が名乗り出ていない外国人拉致事件についても
調査、啓発を続け国際連携の輪を広げる。
・各国政府や国連への訴えを続ける。
中国が自国の拉致被害者救出に取り組まざるを得ないように圧力をかける。

3.北朝鮮内部への働きかけと情報収集活動
・ラジオ放送と風船ビラ等を通じた北朝鮮内部への働きかけの強化。
自由北朝鮮放送などの対北ラジオ放送支援を継続。
・北朝鮮の内部情報収集を強化。
・政権の先行きに不安を覚える金正恩政権幹部らが
情報の切り売りを始めている。

 救う会はこの間、被害者の確実な生存情報をいくつか入手している。
したがって、再度「死亡・未入境」などという虚偽報告が出たら、
すぐそれに反論する。

4.政府未認定拉致被害者についての取り組みなど
・寺越事件、福留貴美子さんなど救う会認定拉致被害者に関して、
真相究明と政府認定を求める運動を強化する。

また、寺越事件、福留貴美子さんをはじめ政府未認定の拉致事件が日朝協議の中で、
取り残されることがないように政府に「認定の有無にかかわらず全被害者の救出」
の実現を求める。
・調査会など関連団体との情報交換、連携を強めつつ政府未認定被害者の救出の
 ための運動に取り組む。
・特定失踪者をはじめとする政府未認定被害者について、
一刻も早い真相究明とその結果に基づく拉致認定を政府に対して求めていく。
警察などの捜査が一層強化されるように要請する。
・特定失踪者問題調査会をはじめ拉致問題に取り組む諸組織や、
北朝鮮人権問題に取り組む内外運動体と、お互いの立場の違いを尊重し合いながら、
適宜、被害者救出に向けて協力していく。

以上

・・・・
正直、ここまで真っ赤になるのは予想外でした。
赤字の部分は、6年経っても効果がなかった訳であり、普通は見直しの対象になるのではありませんか?

黒字の新たに追加された部分も、問題を孕んだものばかりです。
●大集会、小規模集会、学習会、街頭活動、署名活動、デモ、座り込みなど全て
の手段を使って、全力で政府と世論への働きかけを行う。
⇒安倍政権になってから、デモ・座り込みなど一度もしてないはずです。
(ちなみに私達は、国会前で横断幕を広げて、座り込みをしました。
救う会脱退後で、救う会・家族会メンバーでないためか、
全く反響がありませんでしたが。)

●国家犯罪である拉致問題と他の人道問題を同じに扱うことに強く反対し、
拉致被害者救出の最優先を訴え続ける。
⇒よいこととは思えません。
※このことの問題点については、当ブログの「拉致問題と差別②」をご参照下さい。
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-67.html
よろしければ「拉致問題と差別①」からお読みいただければ幸いです。
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-66.html

●朝鮮総連の活動を厳しく取り締まることができる新法制定を求める。
●朝鮮大学校の各種学校認可取り消しを求める運動を行う。
●総連中央が競売された中央会館に居座る問題について、その不明朗さを追及する。
●拉致問題解決に取り組まない朝鮮総連の資金集め活動などへの抗議を行う。
●総連系歌劇団公演に地方自治体が後援をすることに反対する。
⇒逆効果では?
 ※在日コリアン全般へやみくもに圧力をかけることの問題点については、
当ブログの「「朝鮮」と名のつくものには何をしてもいいのか?―それはヘイトである―」をご参照下さい。
 http://serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-56.html

●北朝鮮における人権状況に関する国連調査委員会の報告書を最大限活用し、
諸外国の家族とも協力し、拉致の非人道的実態を国際社会に広める。
報告書を根拠とし、国連安保理事会が新たに北朝鮮に対してかける
制裁の理由に拉致を含む人権問題を加えさせるよう働きかける。
政府にもその外交努力を促す。政府に、安保理事会を通さず独自で
国際刑事裁判所に拉致の責任者を訴追することについて積極的な検討を求める。
⇒ヘイトスピーチ・朝鮮学校無償化排除問題など、
日本国内の非人道的実態ばかり、国際社会に広まっているようですが、
それについては何も思わないのでしょうか。
※2018年9月26日 人種差別撤廃委員会 
日本の第10・第11回合同定期報告書に関する包括所見 21・22参照。
https://imadr.net/wordpress/wp-content/uploads/2018/10/51753d9d0d44c8694afb2d15192dc987.pdf#search=%27%E4%BA%BA%E7%A8%AE%E5%B7%AE%E5%88%A5%E6%92%A4%E5%BB%83%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A+2018%E5%B9%B49%E6%9C%8826%E6%97%A5%27

●救う会はこの間、被害者の確実な生存情報をいくつか入手している。
⇒嘘はやめましょう。
 ※「確実な生存情報」の嘘については、
当ブログ「新しい視点 Ⅵ拉致問題の広報活動を担った人・団体は?②救う会」
をご参照下さい。
 http://serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-24.html
 生存情報を入手しているなら、何故、早急に政府に動いてもらうよう
要請しないのでしょうか?情報はもっているだけで活用しなければ、
唯「知っていること」にすぎません。人の命がかかっているといつも
言っているではありませんか。
安倍総理が「今度は私が金委員長と直接会う番だ」をいつ
実行してくれるのか、何故、言及しないのでしょうか?
不思議でなりません。

●また、寺越事件、福留貴美子さんをはじめ政府未認定の拉致事件が日朝協議の中で、
取り残されることがないように政府に「認定の有無にかかわらず全被害者の救出」
の実現を求める。
⇒認定が無い以上、拉致被害者ではありません。まず認定を求めるべきです。
さらに言うなら、優先順位を考えれば、
まず政府認定拉致被害者:田中実氏との面会などを
速やかに行うよう政府に要請すべきでしょう。
政府認定拉致被害者が生存しているという情報が全く無視されているのに、
「認定の有無にかかわらず」などの話をしても意味がない、
とは思わないのでしょうか。

今年の運動方針に、
「家族会・救う会は今後、
「これ以上待てない! 全拉致被害者の即時一括帰国を実現せよ!」
をスローガンに、全力で救出運動を続ける。」
とあります。

とてもではありませんが、「全力で救出運動を続け」ているとは言えません。
大体、行動方針の前文に、
「飯塚繁雄・家族会代表は、昨年9月の国民大集会で、
「報告書とか調査委員会等の話に惑わされずに、
どうしたら帰国させられるのかという一点に絞った取り組みをお願いしたい。
今年中にとか、来月中にという期限を切るような話は私からは言いません。
着実に進めるために時間がかかるのであれば、それは当然です。
そんなに長くはかからないと思いますが、
この問題の進展を皆様とともに見つめていきたい、期待していきたい」
と述べた。」
と書いてあるのに、「これ以上待てない!」はないでしょう。
関係者の誰も、行動方針を通して読んでいないのではありませんか?
あるいは、読解力が全くないのでしょうか。

厳しい言い方になりますが、見えてくるのは
「怠惰」。
「怠惰」のみです。

やる気がないなら、今すぐ退場して頂きたい。
今のままでは、
「北朝鮮で命がけで待っている拉致被害者」(飯塚代表の言葉)が、
余りにもかわいそうです。
https://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/141230/wor14123014310018-n2.html

救う会会長、西岡力氏の言説の変遷

救う会
04 /28 2019
今回は救う会会長西岡力氏の、ここ4年ほどの間、言ってきたこと、書いてきたことを、
「取り戻すのは今」という決まり文句からピックアップして、羅列してみました。
彼が信頼できる人物かどうか、彼の発言を読んで判断して頂ければと思います。
「文脈を無視している」といわれないように、出典は全て明示しています。

●「でも今、(北朝鮮が)安倍政権に接近してきているというのは、最後とも言える絶好のチャンスで、
崩壊して大混乱が起きる前に何人でもいいから安全に取り戻す。」
2015/2/3 東京連続集会83
www.sukuukai.jp/mailnews/item_4604.htm

●著書『横田めぐみさんたちを取り戻すのは今しかない』を出版。
2015/4/21発行

●「今本当にぎりぎりのところに来ています。ぎりぎりのぎりぎりです。でもパイプは切れていません。
どうも外務省以外のパイプもあるようです。」
2015/7/1 東京連続集会86
www.sukuukai.jp/mailnews/item_4856.html

●「正念場中の正念場です。しかし、彼らも苦しいんです。我々だけが苦しいのではない。」
2015/9/13 国民大集会
www.sukuukai.jp/mailnews/item_4973.html

●「ですから最終決戦は終わっていない。最終決戦は続いている。制裁と国際連携で実質的な交渉に引き出す。
しかし、実質的な交渉は秘密で行われると思いますから、もしかしたら物事が動くときは、半年とか1年、
何も動いていないように見えるかもしれません。」
2016/3/3 東京連続集会89
www.sukuukai.jp/mailnews/item_5283.html

●「北朝鮮による拉致被害者救出は新たな段階に入った。私たちはこれまで制裁と国際連携で、
北朝鮮を全被害者帰還のための協議に引き出すことを戦略としてきた。
この戦略は実は2段階に分かれている。
第1はわが国と国際社会が北朝鮮に強い制裁をかけるように求める段階、
第2段階は北朝鮮が全員帰還を決断することを条件にかけた制裁を下ろす協議を行う段階だ。
いよいよその第2段階に入ったと考えている。」
2016/9/28産経新聞「正論」
http://www.sukuukai.jp/mailnews/item_5567.html

●「核問題で世界中が怒っているさ中に、この圧力をチャンスに変えることができるか、できないか。
まさに勝負の時が近づいている。
 一つだけ言えることがあります。何もしなければ絶対に解決しません。しかし我々が動けば、道は開ける。
全員助けるんだという信念を持って、知恵を絞っていけば、今こそチャンスが来たと思っています。
 だからこそ「最優先」です。だからこそ「今年中に全員帰国」です。もう一度皆さんで、「最優先だ」と、
今年中に全員助けるんだという思いを固めていきたいと思っています。」
2017/4/23 国民大集会
www.sukuukai.jp/mailnews/item_5860.html

●「今、激しい嵐の中にいます。しかし我々が必死になって、「全被害者の帰国なしには日本は動かないんだ」、
「国際的な圧力は弱まらないんだ」ということを叫び続ければ、狭い道ではあるかもしれないが、道は開ける。
 本当の正念場です。この旗が飛んでいってしまったら、助けられないかもしれない。しかしこれを握って、
最後まで行けば、道は開ける。」
2017/9/17 国民大集会
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6121.html

●「今からいよいよ嵐の中に安倍丸が入っていく。しかし、準備はかなりできた。
トランプ大統領に拉致問題の深刻さを認識させることには120%成功した。
トランプ大統領が演説で、国連と韓国国会でも拉致を言っている。
・・・・
年内ということはちょっと遅れましたが、しかし準備はできた。まだあまりにも変数が多すぎて、
いつどうなって、いつ帰ってくると言えるところまで来ていませんが、
やれる限りの布石は打ったのではないかと思います。」
2017/11/21 東京連続集会99
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6227.html

●「去年の2月と今年の1月に総理にお会いしましたが、「圧力をかけて北朝鮮の政策を変えさせる。
変えさせる政策の中で日本にとって最優先の課題に拉致問題が入っている」と。
 この道しかない。この道で今年中に、できれば今年の早いうちに被害者を取り戻して、
親の世代の人たちが元気なうちに再会させるために、
我々民間としてできる限りのことをしたいと思っています。」
2018/2/16 東京連続集会100
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6351.html

●「本当に正念場中の正念場ですが、鉄の球を持って来て20年経ったら頂上が見えてきたんじゃないか。
でも見えてきただけじゃだめなんです。本当に取り戻さなければいけない。何もしなければ勝てない。
これだけは確かです。全力を尽くせば道は開ける。半年前と比べて、我々は高く上がってきた。
自信を持って、これから数か月の勝負に臨もうではありませんか。」
2018/4/22 国民大集会
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6465.html

●「トランプ大統領の軍事力を拉致を解決することに使える枠組みができた。
まだ枠組みができただけです。しかし、そこまでは来たということです。
そのために我々は何回もアメリカに行って国際社会に訴えましたし、
総理は繰り返しトランプ大統領に拉致を訴えてきたし、
古屋圭司先生なんかは3か月に1回くらい訪米してアメリカの議員に訴えてきた。
そういうものが今、実を結んできた。
枠組みはできたと思っています。」
2018/6/29 被害者の即時一括帰国を!特別集会
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6609.html

●「櫻井(よしこ)さんが今、小泉訪朝以来大変有利な状況ができているという話をしました。私も全く同じ意見です。
但し、まだ決勝戦にはいっていない。準決勝だと思っています。
準決勝とは何か。残念ながら日本国内に、「全拉致被害者の即時一括帰国」が解決の定義だと思っていない人
がおられることです。
・・・・
準決勝に勝たなければ、全被害者を取り戻す日朝首脳会談に行けないということです。」
2018/9/23 国民大集会
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6708.html

●「9月の国民大集会で(家族会の)飯塚代表は重大な発言をしました。私たちの今年の運動方針は、
「再度政府に年内の解決を求める」ですが、飯塚さんは「年内とは言いません」とおっしゃった。
運動方針に反しているんですが、「でも慎重に、確実にやってほしい。しかし急いでほしい。期限は切りません」と。
 これは情勢をよく分かっていらっしゃって、「早く」という気持ちと、「しかし失敗したら大変なことになる」ということが、
飯塚さんにあの言葉を言わせたんじゃないかなと思います。国民大集会の一番の核心の発言は、
飯塚さんの発言だったと私は思っています。
 しかしこの道しかないんです。ここまで来た。政府も、官房長官を大臣に据えるというこれまでにない布陣をひいた。
全力で、我々もできることを民間でやる。
最後の力をふりしぼって、難しい、細い道ですが、なんとか頂上まで辿りつきたいと思っています。」
2018/11/1 東京連続集会103
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6758.html

●「被害者が犯人の手にあって、彼らがいつでも銃を突きつけることができる状態で安全に取り戻す。
そのためには兵糧攻めをして、話し合いの門を開いておくしかなかった。それが今できつつある。
 日本だけでなく隣のおじさんたちがみんな味方になって、隣の人が向こうに行ってくれているところまで来た。
悔しいという気持ちがないわけではないですが、被害者を助けるために出口も作る。そういう交渉をしなければならない。
 でもそういう交渉をすれば帰ってくる可能性がある。100%というわけにはいきませんが、可能性はでてきている。」
2019/3/8 東京連続集会105
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6916.html

・・・・
さて、5月19日の国民大集会では、どんなことを言うのでしょうか?

私達は西岡氏のその場しのぎの適当な言説も問題ですが、毎回毎回このような話を聞かされていながら、
一言の異論も挟まず、ただ付き従っている家族会のメンバーの姿勢も、大変な問題であると考えます。

皆さんは、どのような感想をお持ちでしょうか?

5月19日の拉致被害者救出国民大集会へのお誘い

救う会
04 /19 2019
5月19日の拉致被害者救出国民大集会へのお誘い

『天と地と』『平将門』などで有名な作家、海音寺潮五郎氏の著書に、
日本通史の一部として書かれた『蒙古の襲来』があります。

その中に、とても鋭い文章がありますので、紹介します。
一体、人間というものは、目の前に見ないと、
つい気がゆるみ勝ちなものだ。
それはこんどの大戦でわれわれにも経験がある。
日本が空襲を受けるであろうことは、
理論的には1+1=2という算術の式よりも明瞭であった。
しかも、われわれは昭和17年の春に第一回の空襲を東京で受けているのに、
19年秋に本格的な空襲を受けるまで、
われわれの大部分は、空襲必至を信じなかった。
この時代もそうだった。

ここでいう「この時代」は鎌倉時代ですが、
そこに「現在」をあてはめても、十二分になりたつ文章だと思います。
恐ろしい危機が迫っているのに、現在の日本においてわれわれは、
あまりにも気をゆるめ過ぎているのではないでしょうか。

それならば、恐ろしい危機を「目の前で見る」ことができればどうでしょう。
少しはましな状況になるのではないでしょうか?

その点からタイトルにある
「拉致被害者救出国民大集会へのお誘い」を致します。

・・と言われても、飛躍し過ぎていて訳が分からないでしょう。
改めて説明致します。
ここで言う危機とはなんでしょう?
もちろん北朝鮮工作員による拉致の危機を知って欲しいのではありません。

国民大集会と言う名のファシズムの集会、
日本の現職の内閣総理大臣が参加する国粋主義の集会、
を「目の前で見て」強烈な危機感を感じてもらいたいのです。
これは日陰でこそこそ行っているのではありません。
白昼堂々と行われているのです。
だから恐ろしいのです。

前回の昨年9月23日の国民大集会は大変なものでした。
当ブログでも「国民大集会報告」
「韓国ヘイトをする救う会・家族会」などの記事でご報告致しました。
何度か紹介しましたが、
リテラでもとても要領を得た記事が掲載されています。
「拉致問題「国民大集会」が安倍首相の礼賛大会と化す異様!
杉田水脈に声援、櫻井よしこや家族会からは石破茂批判、韓国ヘイト」
https://lite-ra.com/2018/09/post-4281.html
それは、まるで過去のニュース映画などでお馴染みの、
ナチスの集会のようでした。
北朝鮮・韓国を、かつてのユダヤ人のように罵倒し、
安倍総理を、かつてのヒトラーのように賛美する。
そこでは「拉致」など、ただの口実に過ぎません。
「拉致」を持ち出せば、どんなヘイト発言をしてもよいと、
出席者全員が確信しているようでした。
「出席者全員」とは、檀上にいる、
政治家、支援団体の代表だけではありません。
同じく檀上にいる、拉致被害者家族も、
全国各地から集まった観客=参加者も含めてです。
大手マスコミが何十社も取材に来て、
その異様な光景を目撃していたはずですが、皆だんまりです。
実に危機的な状況です。

ここで、救う会のHPから、
これから行われる「国民大集会の案内」を見てみましょう。
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6929.html
■5月19日(日)に国民大集会
  第2回米朝首脳会談は、
北朝鮮が間違った情報を元に情勢判断を誤ったため決裂してしまい、
北朝鮮はいよいよ厳しい状況に追い込まれました。
 時間が過ぎれば過ぎるほど、手元外貨が減少し、食糧が不足し、
国民の忠誠心が金正恩から離れていくなど、
北朝鮮はこの危機を乗り越えるため
何らかの決断をせざるを得なくなっています。
 政府は、全被害者の即時一括帰国に向けて、
国際社会と共に厳しい制裁を維持し、
北朝鮮から決断を引き出していただきたいと願っています。
 安倍総理にも出席をお願いして、国民大集会を下記により開催します。
お知り合いの皆様にもお声掛けをしていただき、奮ってご参加ください。

と き 令和元年5月19日(日)午後2時から4時半まで
開 場 午後1時(先着順)
ところ 砂防会館別館1階、シェーンバッハ・サボー
司 会 櫻井よしこ
登壇者 安倍晋三総理大臣(要請中)、菅義偉・拉致問題担当大臣(要請中)
家族会・救う会役員、拉致議連役員、知事の会代表、地方議連代表、
各党代表、特定失踪者家族と調査会役員
参加費 無料(会場カンパ歓迎)

何をかいわんや、といった内容ですね。
司会櫻井よしこということは、
前回と同じく、司会の職権を濫用して安倍賛美を繰り返す、
「拉致」そっちのけのファシズムの集会を、またまたやる気満々なようです。

話が飛びますが、数年前、
私は在特会の桜井誠氏の講演を聞いたことがあります。
当時は、救う会や頑張れ日本!全国行動委員会・日本会議などの
いわゆるネトウヨの方々も、在特会については、
「あんな奴らと一緒にするな!」と、毛嫌いしていたことを思い出します。
私も珍獣を見るような、ある種の好奇心で参加しました。
そこでは彼は、主に日韓断交のことについて話していました。

今はどうでしょう。
かつて桜井誠が語っていたような話が、
国会議員から、大手マスコミから、そして何よりも、
ごく普通の国民から語られるようになっています。
明らかにTVの影響なのですが。
「日韓断交!」「日韓断交!」と。
たった数年で日本の「普通」は、大きく「極右」の方へと移動しました。
それもそれと意識しないうちに。
駅キヨスクの新聞スタンドから、
北朝鮮・韓国罵倒のフレーズが、いやでも眼に飛び込んできます。
国家ぐるみのマインドコントロールと言えるでしょう。

今の日本はヘイト漬けにされ、凄い勢いで破滅に向かっています。
なぜヘイト漬けにされると破滅に向かうのか?
分からない人は、是非、第二次世界大戦について勉強して頂きたいと思います。
前回の国民大集会では、
「拉致」にかこつけたファシストたちの戯言を、会場で直に聞きながら、
「これから何年かたって、瓦礫の山となった日本で、
「そういえば数年前、国民大集会でこんなことがあったなあ」
と思い出すことになるかも知れないな」
と思ったものでした。

それから半年以上たちました。
残念ながら私達の力程度では、
この流れを食い止めることはできませんでした。
やはり間接的な話では実感がわかないのですね。
実際体験してみないと分からないのです。

だからお勧めします。
是非、5月19日に砂防会館に行ってみてください。
安倍総理を直に見られますよ。
おそらく菅官房長官も櫻井よしこも杉田水脈も見られるでしょう。
入場料は無料です。

勿論、後日youtubeなどに動画がupされますし、
救う会のHPで、文字起こしされた記事を読むこともできます。
貴重な休日を何もそんなことに使いたくはない、
と思われるかもしれません。
しかし、サッカーや野球、アーティストのライブなどでも
実際にスタジアムやライブ会場へ出かけて観戦するのと
自宅のTVで観戦するのとでは、臨場感が全く異なります。
それは皆さん実感としてもっておられるでしょう。
ライブ感です。
大勢の観衆が作り出すその場の空気、雰囲気が自分を包み込み、
感情が高揚してくるという状態は、
スタジアムや会場などの“その場”に居なければ体感できないのです。
ですから、是非その感覚を体感していただきたいのです。
政治家の嫌韓、反北朝鮮発言に対する観客の反応、
「被害者」と言われ同情され、その悲しみに共感していた
拉致被害者家族がヘイト発言を連発する、
それに対する観客の反応を実際に見て、聞いていただきたいのです。
自分が今まで拉致問題、拉致被害者家族に抱いていた共感は
このまま持ち続けていて良いのか?
拉致問題は今まで通り、気の毒・可哀想な“家族”の問題
とだけ考えていて良いのか?
是非、ご自分の目と耳で見て、聞いたことと合わせて
自分で考えてみて欲しいのです。

アニメめぐみで紹介されている時代の横田夫妻に
同情、共感をして拉致問題に取り組んだ者として
現状がどれほど歪められ、貶められ、
夫妻の思いが踏みにじられているのかを思うと
このまま放置しておくわけには行かないのです。

教育現場でアニメめぐみを子ども達に見せる時の指導を
どのようにするのか迷っておられる現場の先生方にも
是非、現状を認識していただければと思います。
その上で、あのアニメを見せた時の指導を考えていただければと
強く願います。
横田夫妻はこのブログでも何度も取り上げてきましたが
決して北朝鮮国民や在日の人達に憎悪を向けるようなことを
勧めてはいないのです。

「拉致」を持ち出せば何でも許されると思っている、
現在の日本政府中枢の人々、
自分達と同じ“普通の人”だと思っていた
“気の毒な”拉致被害者家族と面と向き合い、
今私達がどんな大変な時代に生きているのか、
実感し、その実感から改めて出発して頂きたいと思います。

「これは大変なことだ!なんとかしなくては!」
と必ずや感じていただけることと信じています。

小西ひろゆき議員と島田洋一救う会副会長

救う会
04 /11 2019
小西ひろゆき議員と島田洋一救う会副会長

私達は当ブログで、救う会・家族会の批判を何度か行っていますが、
彼らの動向は欠かさずチェックするようにしています。
中でも、救う会副会長の島田洋一氏(福井県立大学教授)の
ツイッターのチェックは欠かせません。
見たことがある方は分かると思いますが、
とにかく思ったことを、他人が読んだらどう思うか、
どう見えるかなど全く頓着せずに呟いているので、
拉致関係者の本音の部分がはっきりと見えて、とても便利なのです。
そこでこのブログの記事でも、今まで彼のツイートを何度か引用致しました。

先日、いつものように島田氏のツイッターをチェックしていると、
拉致問題とは関係ないながらも、大変興味深いやり取りがありました。
それがタイトルの小西ひろゆき議員と島田氏とのやり取りです。

それらは4月6日の一日で行われています。
まあ、その前にも小西議員への誹謗中傷はたくさんあるのですが・・

例. 今日の小西の挨拶(日米合同演習後の野宴で)も
羞恥心ゼロの自己賛美で、その場にいた全員が侮蔑感を抱いたろう。
こんなゲスを極めた男がなぜ当選してくるのか。
(島田氏のツイッターより 2019/1/13)

まずは島田氏が「拙稿です」と
Japan In-depthの「憲法改正と小西洋之参院議員」
という記事をツイートしました。
以下の記事です。
https://japan-indepth.jp/?p=45084
それに対してツイッター上で小西ひろゆき議員から以下の反応がありました。
「Japan in depthでの島田洋一 福井県立大教授の
「憲法改正と小西洋之参議院議員」という記事は
私への悪質な誹謗中傷の名誉毀損記事だ。直ちに法的措置を取る。
安倍政権では、内閣法制局長官だけでなく
公立大教授も国会議員に違法攻撃をする。本当に恐ろしい時代だ。」

それに対する島田氏の反応は以下の通り。
「ごく普通の言論に対し「法的措置」だそうです」

いつも島田氏の言論を見ている私達から見れば、
「確かに彼にとって、悪質な誹謗中傷の名誉棄損相当の記事は、
普通の言論でしょう。
あくまで彼の価値判断の範囲内では、ですが」
と言わざるをえません。

過去のツイートから、悪質な誹謗中傷の例をいくつか引用してみましょう。

・辻元を通す程度の有権者が相当数おり、
辻元を重用する程度の集団が野党第一党という
日本の暗い現実からも目をふさいではならない。 
■立憲民主党大阪府連、新代表に辻元清美氏選出 2018/11/17

・「政府が音頭を取れば、自然エネルギーだけで原発分の電力を供給できる。
あと10年で行ける」。実に幼児並みに無責任な男だ。 
■小泉純一郎元首相「近い将来、原発ゼロに」 2018/11/22

・産経社説の言う通り。
私は初めから、人間性に欠陥のある河野太郎氏の
外相起用に反対だった。解任は早いほどよい。
■【主張】回答拒む河野外相 日本の立場を捨てたのか  2018/12/13

・翁長、玉城と続く大衆迎合知事の猿芝居のために、
どれだけの税金と貴重な時間が無駄にされてきたか。
小才が効く愚か者の害は大きい。 2018/12/24

・ビニール袋のような軽い脳を131重ねても重みはゼロだ。
■学者の沖縄声明 憲法違反の指摘は重い:社説・東京新聞 2019/1/26

・「悪夢のような民主党政権に戻すわけにはいかない」
に思わず私は笑ったが、一体何が問題なのか。
石破は益々嫌みな小人物になっていくようだ。 
■【自民党大会】石破茂氏、首相の民主政権批判演説に不快感 2019/2/10

・枝野はなぜ外交問題で切り込まないのか。
対北朝鮮、中国、ロシア。
安倍首相にぶつけるべき質問は山のようにある。
結局、愚かな小物いうことなのだろう。
■立憲民主、衆院選に備え擁立前倒し 党全国会議で枝野幸男氏指示 2019/2/12

・・・これらはほんの一部です。
正直言いまして、このようなことを四六時中呟いている人には、
あまり近づきたくもなく、関わりを持ちたくない、のが人情というものです。
「触らぬ神に祟りなし」という言葉もあります。

それにもかかわらず、
法的に罪が問えるかどうかは、法律に疎い私達にはよく分かりませんが、
敢えて島田氏の荒れ狂う暴言に対して立ち上がった、
小西ひろゆき議員の気概には拍手を送りたいと思います。

さて、島田氏の言論から彼の主張における志向性を、大掴みで説明すると、
「アメリカと自民党は何をしようと正しい」と言っていいと思います。
つまりは「権力=力が全て」です。
より分かりやすい表現を使えば
「強きを助け、弱きを挫く」のが、島田氏の信条と言えましょう。
そのため、アメリカでも特にトランプ大統領と、
タカ派のボルトン大統領補佐官、
自民党では安倍総理・菅官房長官らが何をしようと、
島田氏の主張と正反対の行動をとろうと(何度もありました)、
一切批判することはありません。

どのような信条を持とうが、個人の自由ではあります。
しかし、このような信条では、まともな人間からは相手にされず、
軽蔑されるのは避けられませんが。
しかしこのような信条の人物が、教育に関わったり、
人権問題に関わったりしているのなら、話は別です。
その理由はことさら説明する必要はないはずです。

特に救う会副会長である島田氏の、
人権意識の欠如ぶりは、到底見逃すことはできません。
また島田氏のツイッターから引用します。

・人の情を弄ぶ許しがたい、そして見飽きた政治ショーだ。
南から北にカネも渡っているだろう。
■南北離散家族が対面=朝鮮戦争以来の再会 2018/8/21

・「女性と不適切行為をした問題」。昔なら「女遊び」と表現した話だ。
偽善にしてもバランスを失し、執拗すぎないか。前川喜平の意見を聞きたい。
■三屋裕子会長がバスケ議連総会で陳謝 代表4選手の不祥事で 2018/9/6

・大きく取り上げすぎではないか。他にもっと重要なニュースがある。
■安田純平さんが成田空港に帰国 | NHKニュース 2018/10/25

・左翼によるLGBT問題を利用した政敵攻撃にはっきり釘を刺す姿勢も必要だ。
■稲田朋美氏「LGBT」「多様性」で復権か 
代表質問に「異例の抜擢」2018/10/30

・まるで米当局が殺したとでも言わんばかりの作りだが、
NHKは何が言いたいのか。
日本は不法移民をいくらでも受け入れろというのか。
無責任なインテリのきれい事。 
■移民の7歳少女 アメリカで拘束後に死亡 | NHK 2018/12/16

どうしてここまで社会的弱者に対して敵意をむき出しにするのか。
それは先に言いました、彼が「強きを助け、弱きを挫く」人物だからと
言えるのではないでしょうか。

実は彼はツイッター上で、「人権」「人権」と言ってはいるのです。
しかしそれは中国・韓国・北朝鮮を攻撃するのに、好都合なものだけです。
彼にとっては「(彼の言う)人権」は武器でしかありません。
中国・韓国・北朝鮮を攻撃し、自民党政権を守るもの。
彼は救う会副会長として、拉致問題をそのような武器としてのみ扱い、
拉致問題を思う存分捻じ曲げ、
拉致関係者を政権のための兵卒に育成しています。
また彼は、拉致問題を
「それに関わっていれば何をやっても許される免罪符」か何かだと
思っている節もあります。
なぜなら彼は4月3日のツイッターで、
「忖度」発言をした塚田氏について、
「塚田氏が拉致議連事務局長として力を尽くしてきた点も
評価して欲しいところだ。」などと言っているのです。

何よりも救う会副会長としての島田氏の姿勢には、
「平和的解決が望ましい」「圧力・武力の行使はできるだけ避けるべき」
という常識的な考えは一かけらもありません。
武器だと見なしているからです。
とにかく圧力一辺倒、軍事力が全て。

くどいですが再度ツイッターから引用します。

・かつての日本なら、とうの昔に軍事力で北の独裁体制を潰し、
拉致被害者のみならず住民全体を解放していただろう。
軍=悪という迷妄にはまった国の悲劇。
■産経ニュース「めぐみへの手紙」(横田早紀江)への言及 2018/1/3

・本来なら日本もやるべき話だ。 
■正恩氏暗殺計画で空軍が極秘訓練 昨年10月、
米政権の内幕本:中日新聞 2018/9/11

・北朝鮮、中共を同時に締め上げていく必要がある。
■米、正恩氏側近ら制裁指定=人権侵害と検閲で 2018/12/11

島田洋一氏は、拉致問題の自民党政権による政治的歪曲を、
実に分かりやすいかたちで、体現した人物なのです。

ここで問題の論文「憲法改正と小西洋之参院議員」の内容を改めてみてみます。
まず私の個人的な感想を言いましょう。
「島田洋一氏が文中で取り上げ、
罵詈雑言を浴びせている小西議員の言動の、
どこが悪いのかわかりません。
むしろ、とても立派な言動だと思います。」

島田氏は、自衛隊のイベントに小西議員が来賓として参加したことを、
「小西氏の厚顔は政界でも群を抜いている。」
「氏は演習場を含む千葉県を選挙区とする。
従って、平和安全法廃止を唱える反軍平和主義者でありながら
駆けつけたわけである。」
と揶揄します。

私に言わせれば、
「小西議員はなんと誠実なのだろう。
反軍平和主義者(よいことではないですか!)でありながら、
自衛隊ときちんと向き合っている。」
となります。

また島田氏が問題視する自衛官と小西議員の口論の件も、
ただ安全な場所から組織としての自衛隊をただ批判するのではなく、
「戦争になった時に現場にまず行く」一人の人間としての自衛官と、
しっかり己を表に出して討論している真摯な態度、
とみることもできるのです。

島田氏は論文を以下のように締めくくっています。
「先の自衛官とのトラブルも、小西氏は別れ際に
「あなたのような自衛官を殺させるわけにはいかない。
だからこそ憲法改正をなんとかやめさせようとしている。」
と語っている。
小西氏の厚顔無恥を嗤うのはたやすい。
しかし彼が、上記のごとき言動を繰り返しつつ
当選を重ねている事実は重い。
憲法改正は間違いなく厳しい戦いになるだろう。」

「戦争になった時に現場にまず行く」自衛官が、
現在の体制に疑問を持っていないことについて、
相手を思いやり、なんとか説得しようとするひたむきな心を、
「厚顔無恥を嗤うのはたやすい」とは恐れ入った言葉です。
島田氏らしい言葉遣いではありますが。

なんでこんなことを言うのでしょうか?
それは彼の「強きを助け、弱きを挫く」ことを
良しとする信条から導き出される、
「お上に逆らうな。お上に逆らうとは何たる不逞の輩か!」
という信条からでしょう。
だから安倍政権の悲願である憲法改正(改悪?)を、
何の根拠もなく正しいものと決めつけているのです。

ところで、
私達は別に島田洋一氏を重要人物、
政権のキーパースンだと思っているのではありません。
島田氏の極端な意見が、安倍政権の内部の人々を動かし、
好戦的な方向に導いている、とは見なしてはいないのです。

ですが、これから何をしていくにせよ、
彼のような人物が、極右的な政権がバックについていることをいいことに、
「何を言っても、何をやっても許される。
私は拉致問題という免罪符を持っているのだ」
と公の場で傍若無人にふるまうのを、
見て見ぬふりをするような状況から変えていかなければ、
何も始まらないでしょう。

だからこそ、小西議員のこれからの戦いに注目していきたいと思います。



Serenity Prayer

某県「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出する〇〇の会)元幹事。
脱退後に意見の対立から除名されたらしい。(正式な通告はなかった)
ウヨク的思考を経て中立に物事を見て、判断し、発言する方向へ変わる。
中立の立場から今の拉致問題のあり方に疑問を持つ。
拉致問題に限らず、考え方はヒューマニズムに立つ。