fc2ブログ

拉致問題解決の主体は一体誰なのか?

家族会
06 /01 2019
拉致問題解決の主体は一体誰なのか?

以前から疑問に思っていたことなのですが、
「拉致問題解決の主体は一体誰なのか?」
について、
特に今年になって、考えさせられることが多くなりました。

①拉致被害者家族
普通に考えれば拉致被害者家族です。
拉致被害者を取り戻すのを一番願っているのは、
拉致被害者家族以外ないはずなのですから、
実際の行動は政治家や官僚など実務家に任せるしかないとしても、
取り戻すための原動力、
「なにがなんでも取り戻す」という強い意志の力は、
拉致被害者家族から発するのが物事の筋道です。

当ブログでは今までにも何度か、
拉致被害者家族の言動に関する疑問点などを指摘してきましたが、
5月19日の国民大集会で、本当に驚かされることがありました。

増元照明氏(増元るみ子さん弟)の話の中でこのような発言がありました。
ブルーリボンバッジをつけていない国会議員がいることで、
出席している各党の代表の議員にくってかかってから・・・
「今北朝鮮と交渉を現実にする時に、日本人の意志を、
そして国会議員の皆さんがこの問題を絶対に、
絶対に解決するという強い意志を見せて頂かなければ、
日本人として我々もついていけないんですよ。
我々自身も国会議員の皆さんが率先して、
やっていくという意志を見せてくれない限り、
我々はそれを黙って見ているしかないんですか。是非お願いします。」

会場で聞いていて「ええええええ~~っ!!!」と思いました。
「ついていけないんですよ」って、
あなたたちは「ついていく」立場だったんですか?
あなたたちは、大事な家族を取り戻す、
「主体」なのではないですか!?
国会議員がやる気を見せなかったら、
一生懸命尻を叩くのが家族の役目でしょう?
それこそデモでも、街宣でも、座り込みでも、ハンストでもして。
誰が「黙って見ていろ」なんて強要しましたか。

そしてなによりも、
「では、ついてこなくていいよ」
と言われたらどうするつもりなんですか?
誰もが拉致問題から離れてしまっても、
自分達家族だけでは運動を続けるのが家族なのではないですか?

また5月27日のトランプ大統領との
2度目の面会の後の質疑応答など読んでいると、
なんとも不思議な感覚に襲われます。
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6979.html
問 
次は安倍総理が、ということになると思いますが、
国民大集会では安倍総理が、
「日朝首脳会談のめどは立っていない」と発言された。
安倍総理は今どう考えておられると思いますか。

横田拓也(横田めぐみさん弟)
安倍総理のお考えは分かりませんが、
米朝と日米が同時に動いていると思います。
米朝は決裂したが、本気で決裂させているのではなく、
その意味では第3回を米朝双方が探っているし、
特に北朝鮮はこのままでは経済体制や政治体制が崩壊直前だと思うので、
もう一手がほしいところだと思います。
2017年と今と何が違うかといえば、
圧倒的な国際連携のもと経済制裁のインパクトが違い、
彼らも逃げ切れないところまできている。
交渉に出て来ないと彼らは明るい未来が描けないどころか、
次のステップに踏み込めないところにいると思います。
その点、日朝の対話の可能性が出てきていると思いますが、
安倍総理がおっしゃっているように、対話のための対話ではいけない。
無条件でとおっしゃってはいますが、
方向の芯というものは変わっていないと思います。
そのタイミングを見ていると思います。
今回の訪日は日米連携の強化など、意味があったと思います。
私たちが拙速に、「会え」というつもりはないし、
しかしゴールはなくてはならないので、
そこは政府に任せて結果が出る強い交渉をしてほしいと思います。

飯塚耕一郎 (田口八重子さん長男、家族会飯塚繁雄代表の甥)
安倍総理のお考えは安倍総理でないと分からないと思いますが、
北朝鮮への圧力が高まっている今、
日朝への運びを模索しているのだろうと思います。
拉致問題解決に資するものでなければならないという
絶対条件は変えるべきではないと思いますし、
会談はゴールではなくあくまで手段ですので、
手段を使って、どうやって拉致被害者の即時一括帰国の検討を
引き続きお願いしたいと思います。

質問者は実に核心に迫った問いを発しています。
安倍総理は国民大集会で
「無条件での日朝首脳会談を行いたい」
と次のプロセスを提示しておきながら、
「日朝首脳会談のめどは立っていない」
といきなりそのプロセスが途切れていることを白状しました。
それは誰がどうみても「拉致問題は今行き詰っています」
という状況を、総理自身が述べたものとしか解釈できません。

常日頃「もう待てない!」
と言っている拉致被害者家族にとって、
到底看過できる発言ではないはずであり、
総理の考えについて、自分なりの意見を持っていて当然です。
その見解を問われている訳です。

それに対して二人の答えは、
まず「安倍総理のお考えは私には分かりません」から始めます。
かといって、これから真意を尋ねようという意識など皆無。
ひたすら「思います」「思います」と地に足のつかない願望を述べ、
「安倍総理のやることは全て正しい」
という結論ありきのご都合主義的解釈を、
評論家のように語っています。

そして最後に脈絡もなく
「そこは政府に任せて結果が出る強い交渉をしてほしいと思います。」
「拉致被害者の即時一括帰国の検討を引き続きお願いしたいと思います。」
と政府に丸投げしてしまうのです。
まるで他人事ですね。

ちなみにその後横田拓也氏はこうも言っています。
「トランプ大統領と安倍総理の絆の強さを改めて実感しました。
安倍総理と私たちの見解、方針は一致していますので、
トランプ大統領の対処方針はぶれていないと感じました。」

日朝首脳会談に関する「お考え」が分からず、
知る気もなく、全て「思います」なのに、
「見解、方針は一致している」と断言するとは一体何なのでしょうか?

全く主体性を喪失していると言う他ありません。

②安倍総理
安倍総理は自らを「拉致問題前進への司令塔」
と称していた時期があります。
実は1年前なのですが。
今は全くそんなことは言わなくなりました。

今は何を言っているのか?
「拉致問題の解決に向けて
金党委員長と条件を付けずに会い、虚心坦懐に話をしたい」
そして「現時点でめどがたっていない」です。

この件については当ブログでも先日、
「私見「無条件で日朝首脳会談」とはどういうことか?」
という記事を掲載しました。
serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-94.html
そこで核心として、
「・「無条件で日朝首脳会談を行いたい」と言って、
「やってる感」だけは出しておく。
・アメリカで拉致被害者家族に「全拉致被害者の即時一括帰国」
という条件を連呼させ、
北朝鮮への憎しみを煽ることで、
絶対に相手が乗ってこられない状況を作り出す。
(今回はトランプ大統領と拉致被害者家族との
二回目の面会で同じことが行われました。)
にあると言えるでしょう。」

つまり、わざとめどがたたない状況を
あえてつくっていると判断します。
なんとかして「無条件での日朝首脳会談」
を成立させようとしている気配など、全くありません。

安倍総理は拉致問題解決への主体性を、
意図的に放棄しているのです。

③トランプ大統領
5月27日にトランプ大統領と拉致被害者家族との
2回目の面会が行われた時、安倍総理は以下のように言いました。
https://www.rachi.go.jp/jp/archives/2019/0527menkai.html
「今回も、大統領には貴重な時間を割いていただき、
拉致被害者の御家族の皆様と会っていただき、
皆様のお話に耳を傾けていただきました。
そしてハノイでの米朝首脳会談においても、
拉致問題について提起をしていただき、
私の考え方についても金正恩委員長に伝えていただきました。
正に、トランプ大統領は、皆様のお気持ちに沿って
外交努力を重ねてきてくれていると思います。
そして、この問題についてトランプ大統領は、
解決に向けて全力を尽くしていただいていると思います。」

まるで、拉致問題解決への主体が、
トランプ大統領であるかのような口ぶりです。
それではトランプ大統領が拉致問題解決の主体なのでしょうか?

面会後のトランプ大統領のコメントは以下の通り。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/【速報】「米朝で拉致問題を提起するようにしている」トランプ大統領が拉致被害者家族と面会/ar-AABYq0j#page=2
「・拉致被害者のご家族との面会は2回目になりますが、
ここに集まられている方々の失われた、
愛されているご家族の方々について、
私たちもいつも心に刻んで覚えています。
・拉致問題は、いつも私の頭の中にあります。
・安倍首相は必ず、この問題を解決したいと思っていると強く感じます。
・米日首脳会談の際、必ず、安倍首相にとって
第一優先項目であるということを何度も強調されるからです。
・ですから、私もなるべく米朝会談で提起するようにしています。
・偉大な安倍首相は、日本全国を愛しています。
・この問題を必ず解決したいと強く思っています。
・一緒に取り組んで帰国させるように頑張りたいと思います。」

どう見ても、安倍総理の代わりに拉致問題解決の主体となって、
「自分が」拉致問題を解決する、とは一言も言っていません。
そんなこと、言わなくて当然なのですが

あくまでもするのは安倍総理のフォローであり、
安倍総理が放棄した主体を受け取ったりはしていません。

④救う会
⑤拉致問題対策本部

当ブログでも何度も触れました。
彼らは拉致問題解決を目指す組織などでは、全くありません。

⑥外務省
外務省はあくまでも役所なので、
安倍総理からの支持もなく勝手に、自由に交渉に取り掛かるなどという
総理の「代わりに」行動したりはしません。

⑦金正恩委員長
逆説的ですが、実は今、拉致問題解決の主体は、
金正恩委員長に向けて投げられています。

救う会のHP、公式ツイッターを見て下さい。
固定で「家族会・救う会の北朝鮮指導者へのメッセージ」が掲載されています。

このメッセージの欺瞞性については、当ブログでも以前
「「安倍総理を救う会」と「安倍総理の家族会」」という記事を掲載しました。
http://serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-83.html

そこで以下のように書きました。
「その本来の意図は、次のようなものでしょう。
「家族会・救う会は金正恩委員長にメッセージを伝えました。
次は金委員長がそれにきちんと答える番です。
家族会・救う会が満足できる答えが返ってこない限り
(つまり絶対不可能な「全拉致被害者の即時一括帰国」を行わない限り)、
安倍総理は金委員長と向き合う必要はありません。
悪いのは私達の望む返事をしない金委員長の方です。
安倍総理には何の非もありません。」」

この記事は今年の2月27日に書きましたが、
予想通り、といってよいでしょう。
その上、安倍総理は「無条件での日朝首脳会談」と言い続け、
「さあ、次は金正恩委員長が答える番だ」と言わんばかりです。
南北会談、米朝会談の後、
金委員長は「何故、安倍総理は直接言ってこないのだ?」
と言っています。
直接言えないことを見透かされているかのようです。
金委員長との直接のルートを持たないらしい
安倍政権は「今度は私が直接~・無条件で~」と
言うしかなく、その発言だけで日本国内の拉致関係者、国民に
期待感を持たせているのです。
期待感だけで実際には何ら、会うための「めどすら立っていない」
ということなのです。

このように拉致被害者家族と安倍総理が、
共に金正恩委員長に拉致問題解決の主体を
あたかも投げたかのような状況になっています。
本当にそうなのか?
実はそうではありません。
無条件と言いながら、
「全拉致被害者の即時一括帰国」という絶対不可能な条件
をつけている以上、
「拉致問題解決の主体」というボールを投げたふりをしているだけです。

ではそのボールは今どこにあるのでしょう。

⑧日本国民
実はそのボールは日本国民の手元にあるのです。
先の国民大集会では日本国民全体・日本国民の団結が連呼されました。
「しかし大切なことは拉致問題の解決のために
日本国民が一致団結し、全ての拉致被害者の
一日も早い帰国の実現への強い意志を示していくことだ。
その声こそが国際社会を動かし、
そして北朝鮮を動かしていくことにつながる。」(安倍総理)
そして何かというと、1340万筆を超える署名箱が指し示されました。

そして決議文ではこう書かれています。
「 本日、平成9年から政府に提出されてきた
拉致被害者救出を求める署名1340万筆を超える現物を、ここに展示した。
この国民の声を背景に政府はなんとしても
全拉致被害者の即時一括帰国を実現させてほしい。以下、決議する。

1 政府は、国民が切望する全拉致被害者の即時一括帰国を早急に実現せよ。

2 北朝鮮は、全拉致被害者の即時一括帰国をすぐに決断せよ。」

まさに拉致問題解決の主体は、国民と北朝鮮へと投げかけられています。

そういうのなら、私達が主体になろうではありませんか。
そして
「私達は「全拉致被害者の即時一括帰国」など切望してなどいません。
現実的な方法で拉致被害者を救い出すことを切望します。」と、
はっきり言ってやろうではありませんか。
誰に?
拉致問題解決の主体を喪失した人たちに。

1340万筆の署名をしたのは私達です。
私達も拉致問題解決に口を出す権利はあります。
「全拉致被害者の即時一括帰国以外認めない!」という人たちに
異議を唱えてもいいのです。
「一日も早く拉致被害者の人たちに帰ってきて欲しい」
という想いだけで署名した人がほとんどのはずです。
家族や救う会のいう「全拉致被害者の即時一括帰国」など
署名した時期の殆どの期間、言われてもいないことでした。
「少しでも早く、ご家族がお元気なうちに再会を果たして欲しい」
と望み、何人からでも構わないから、
誰からでもかまわないから、再会を実現して欲しい、
と願いながら署名をしたはずなのです。

当ブログでも「新しい視点」以来、
繰り返し触れてきましたが、拉致問題の解決は普通にやれば、
別に難しいものではありません。
拉致問題を私物化し、解決不能にしている人たちに、
異議を唱えることから、再出発しましょう。
スポンサーサイト



再びトランプ大統領と面会する、拉致被害者家族

家族会
05 /22 2019
再びトランプ大統領と面会する、拉致被害者家族

5月末に来日するアメリカ・トランプ大統領と、
拉致被害者家族とが、再び面会することが決まったそうです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190514/k10011915571000.html
「拉致被害者家族 訪日のトランプ大統領と再び面会へ」
「安倍総理大臣は、総理大臣官邸で開かれた政府与党連絡会議で、
今月下旬にアメリカのトランプ大統領が日本を訪れた際に、
おととし(2017年)11月に続いて、
北朝鮮による拉致被害者の家族と
再び面会することを明らかにしました。
この中で安倍総理大臣は、
今月25日から予定されるアメリカのトランプ大統領の日本訪問について、
「日米首脳会談では、北朝鮮問題をはじめとする
国際社会が直面する諸課題や日米経済、
そしてG20大阪サミットの成功に向けた協力などについて、
じっくりと話し合いたい」
と述べました。

そのうえで
「トランプ大統領に再び
拉致被害者のご家族とお会いいただく予定だ。
拉致問題の解決に向けて日米が共に力を合わせて取り組んでいく」
と述べ、トランプ大統領がおととし11月に続いて、
北朝鮮による拉致被害者の家族と再び面会することを明らかにしました。

また、安倍総理大臣は、
今月9日に北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射したことについて、
「国連安保理決議に違反するものであり、極めて遺憾だ。
米国をはじめ、関係国と緊密に協力しつつ、
関連する国連安保理決議の履行を一層強化するなど、
しかるべく対応していく」と述べました。」

ところで、この記事では、
なぜ、なんのためにトランプ大統領と拉致被害者家族が、
再び面会するのか書かれていません。
「拉致問題の解決に向けて日米が共に力を合わせて取り組んでいく」
というのがそれらしいですが、
面会と拉致問題解決にどのような関係があるのか?
随分飛躍があるようです。

そこでまず2017年11月の最初の面会は、
なぜ行われ、どのような成果を生んだのか、
から考えてみたいと思います。

そのため最初に、救う会・家族会の2017~2019年の運動方針から、
アメリカ・トランプ大統領への働きかける際の目標と、
その後の評価を見てみることにします。

「国際連携の強化」の中のアメリカに関する目標は、
3年間ずっと同じ、以下の内容です。
「米国トランプ政権へ拉致問題の深刻さと
被害者救出への協力を求める働きかけを行う。
金融制裁強化を求めていく。
引き続き、米議会内外の保守派との連携を強めていく。
米国トランプ政権に対し、
歴代米国政権が北朝鮮に騙され続けてきたことを踏まえ、
宥和的でない外交を展開するように働きかける。」

そこで毎年変化の大きい前文部分に注目します。
・2017年の運動方針前文には、
アメリカ・トランプ大統領に関する記載はありません。

家族とトランプ大統領との面会後の、
・2018年の運動方針前文には、以下の記述があります。
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6317.html
「この方針を成功させるためには同盟国米国の支持が不可欠だ。
昨年の大きな成果は、
トランプ政権に拉致問題の深刻さを理解させることに成功したことだ。
トランプ大統領の国連演説などから分かるように、
わが国が拉致問題を最優先で取り組むことを
米国政府は十分に理解している。」
「また、全被害者救出のための実質的協議(この実質的協議は日朝?)の前に、
北朝鮮が米国との対話に乗り出す場合、
常に「拉致被害者の帰国」が議題に含まれるように
政府の外交努力を求めていく。」

・第一次米朝首脳会談後の、2019年の運動方針前文には、
以下の記述があります。
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6870.html
「昨年から、北朝鮮をめぐる情勢は
頻繁な首脳外交による対話局面を迎えた。
南北首脳会談が3回、中朝首脳会談が4回開催され、
そして敵対していた米朝首脳も6月に会談した。
米朝首脳会談ではトランプ大統領が金正恩委員長に直接、
日本人拉致問題を提起するという成果があった。
しかし、私たちが求めている
「全拉致被害者の即時一括帰国」は実現しなかった。」

これらを整理してみます。
救う会・家族会が基本的にアメリカに求めていることは以下。
①拉致問題の深刻さをトランプ大統領に理解させる。
②被害者救出への協力を求める。
③北朝鮮への金融制裁強化を求める。
④宥和的でない外交を展開するように働きかける。
⑤「全拉致被害者の即時一括帰国」実現につなげる。

1回目の拉致被害者家族とトランプ大統領との面会で、
①についてはよい感触を得た、と見なしているようです。
しかしその後の米朝首脳会談の結果を見る限り、
「「拉致被害者の帰国」が議題に含まれる」ことはなく、
「北朝鮮への金融制裁強化」がされることもなく、
行われたのは「宥和的な外交」でした。
そして「全拉致被害者の即時一括帰国」は実現していません。

つまり救う会・家族会は、主な目標の中で、
アメリカ・トランプ大統領に働きかけて得られたものは、
「拉致問題の深刻さを理解させることに成功したこと」
のみと認識しているようです。
それが本当に成功しているのかについては、
ここでは問わないことにします。

さて、2017年11月の面会の詳細は以下の通り。
www.sukuukai.jp/mailnews/item_6186.html
実際にトランプ大統領と話をしたのは家族中4人のみ。
①横田早紀江(横田めぐみさん母)
 国連総会の場で「13歳の少女が」と(娘のめぐみさんなど)
拉致問題に言及していただいたことは、
私たちにとってありがいことと感謝しました。
また忙しい日程の中で家族に会っていただいたことに感謝し、
「よろしくお願いします」と申し上げました。

②飯塚繁雄(田口八重子さん兄、家族会代表)
我々の立場とすれば、核・ミサイルの問題は当然あるんですが、
日本国の最優先課題である拉致問題については
絶対に後へは引けないので、
安倍総理と協力してやってほしいというお願いもしました。
これについて具体的な話はしませんでしたが、
今回の流れの中で、安倍総理と手を組んで進める
という話はいただいたので、今後注視する価値がある、
あるいは注視しなければいけないと思いました。
その後、八重子の例を出してお話し、
当時1歳と2歳のこどもを置き去りにして
連れて行かれた事実について相当ショックを受けていたようです。
また、私の隣に座っていた耕一郎を、
これが当時1歳だった子どもですと紹介したら、
すごく感動的な顔つきで眺めたり、質問したりしていました。

③曽我ひとみ(拉致被害者、曽我ミヨシさん娘)
 今日は、私が大好きな母の写真(浴衣姿)を持って来て、
一緒に見ていただきました。
一緒に拉致されて39年間、まだ母は日本にいません、
という話をしました。
この写真のように笑顔の母を一日も早く見たいと話をしました。
 そして、ずうずうしいかもしれませんが、
「大統領にもお母様がいらっしゃると思います」と投げかけました。
頷きながら私の話を最後まで聞いてくださいました。
まずご挨拶をして、国連の場で拉致問題のことを
世界に発信していただいたことへのお礼も述べました。
86歳になる母なので一日も早く日本に帰ってきてほしいこと、
そしてご協力を宜しくお願いいたしますと述べました。

④有本明弘(家族会副代表)
私は、「恵子がロンドンで英語の勉強中にいなくなった。
年齢は23歳だった」
ということを申し上げました。

とりあえず、「拉致問題の深刻さを理解させること」
のみを行ったようです。

さて、米朝首脳会談で行われたのは、
「拉致被害者の帰国」ではなく、「拉致問題の提起」のみであり、
拉致関係者はそれでトランプ大統領を非難することはなく、
むしろ感謝をしました。
まるで「拉致問題の提起」が最初からの目標であったかのように。

再び面会するとして、
トランプ大統領と金正恩委員長が、
シンガポールで共同声明を出した後で
「拉致問題の提起」だけで満足して見せた後で
「拉致被害者の帰国を(しかも全拉致被害者の即時一括帰国)」
「被害者救出への協力を」
「北朝鮮への金融制裁強化を」
「宥和的でない外交を」
求めることができるのでしょうか?

確か先日の国民大集会では、トランプ大統領との再度の面会について、
「拉致被害者の生の声を聴いてもらう」と言っていたよう記憶しています。
「生の声を聴いてもらう」
それでできるのは「拉致問題の深刻さを理解させること」
前回と同じではありませんか?
もはや米国大統領と面会すること自体が目的化しているかのようです。

更に言えば、拉致被害者家族は2006年にはホワイトハウスで、
ブッシュ大統領とも面会をしています。
2014年には、安倍総理同席のもと、
来日したオバマ大統領とも迎賓館で面会をしています。
https://www.sankei.com/affairs/news/140424/afr1404240002-n1.html
両大統領共に
「日米が協力して解決しなければならない」
というようなことを言っています。
さて、成果はあったのでしょうか?

トランプ大統領との面会には一体どのような目的があり、
どのような成果を求めているのでしょうか?

今回の面会は、
救う会・家族会の方から要請があったという話を聞いています。
国際連携を必要とする様々な被害者団体がある中で、
アメリカの大統領に面会できる被害者団体は
拉致被害者とその家族のみ。
大変な特別待遇です。
他に面会したい人々は大勢いるでしょうに、何故なのでしょう?

「来日するたびにトランプ(アメリカ)大統領と会わせてもらえるなんて、
拉致被害者家族は上級国民扱いなのではないか?」
と言われるようにならないよう、
面会する以上、必ず拉致問題解決に結びつく成果を出せるように、
万全の準備をした上で臨むことを願います。

そしてくれぐれも、
「私たちは北朝鮮と闘う正義の戦線の最前線で戦っているのだ。」
などというような錯覚をもつことなどないように願います。

横田早紀江さんの祈り ~ 私見「祈る」とはどういうことなのか?

家族会
03 /24 2019
横田早紀江さんの祈り
~ 私見「祈る」とはどういうことなのか?

横田早紀江さん達、拉致被害者家族の
「めぐみ(家族)と生きて再会したい。この手に返してください。」
という祈りは、何故きかれないのでしょう?

“還り来る”由緒にちなみ、還来神社で拉致被害者帰還の祈願
                   (救う会全国協議会ニュース3.20)
http://www.sukuukai.jp/mailnews/item_6923.html
という記事がありました。
被害者家族にとって、被害者である家族との再会、帰還は、
神頼みをしたくなるほど、大きな望みでしょう。

ここでいささか厳しい言い方を致します。
しかし、その望みは希望ではありません。
願望です。

願望は行き過ぎると欲望になります。
欲望は果てしなく、手に入らないと判ると余計に、
何かを、あるいは誰かを犠牲にしてでも手に入れたくなるものです。
「名声が欲しい・お金が欲しい・権力が欲しい・あの人の心を手に入れたい」etc.
そして「全拉致被害者の即時一括帰国は譲れない」
これらは希望ではなく、願望≦欲望です。
願望≦欲望を満たすために、神に祈り、神は叶えてくれるのでしょうか。
*ここで言う「神」はキリスト教の神とお考えください。以下も同様です。

希望と願望≦欲望の違いは何でしょうか。
希望は内なるもの、こうありたいと望むこと、心の有り様で
願望≦欲望は、外に求めるものだと言われています。
「外に対する願望は、何を持つかという「having」です。
希望とはそうではなくて、どうありたいかという「being」なのです。」
(日野原重明『生きるのが楽しくなる 15の習慣』講談社+α文庫より)
と聖路加病院の日野原先生もお話しされている通りです。

拉致被害者家族であるならば、
希望とは「このような悲劇が起きないように語り続ける力を与えてください。」
あるいは「この悲劇に負けずに生きていけるよう支えてください。」
であったりするのかと思います。
「今すぐ全員目の前に連れてきなさい。」となると
それは願望≦欲望となるのではないでしょうか。

私は個人的に、祈りは聞かれると思っています。
しかし、それは「自分の望み通り」の結果が与えられる
ということではありません。
自分にとっては望み通りになれば一番良いのですが。
しかし、そうではなくても、それどころか反対の、
その時の自分にとっては最悪とも思える結果であっても、
それが神からしたら、
その時の「私」には最善の、必要な結果なのだということです。
*やや難解なので、ここで無理に納得しないで下さい。

それを受け容れることはとても辛いし、苦しいことです。
瞬時にそれができるわけでもありません。
何故?何故この結果?何故、望み通りではないのか?
と神に問うでしょう。
でも、そのうち、それから数年等の時間が経った時、
「あの結果で良かったのだ。」と思える時が来ることがあるのです。
「確かにあの経験が無ければ、“今”はないな。」
と思える時がくることがあるのです。
そして「あの経験」が無ければ、“今”のこのことは手に入っていない、
と思えることがあるのです。

クリスチャンでもある横田早紀江さんの場合はどうなのでしょう。

めぐみさんがいなくなってから40年。
再びこの手に、と祈り続けてきたのでしょう。
そして、今も。
でも、もしかしたら生きてはいないかもしれない、
と思った時もあったことでしょう。
しかし、政府が、救う会の西岡会長が、そして救う会の支援者から、
「めぐみさんは生きています。その前提で北朝鮮と交渉をしています。」
と言われれば、「自分がくじけてはいけない。」
と何度も気持ちを奮い立たせて「めぐみをこの手に返してください。」
と祈り続ける他なかったことでしょう。

政府や救う会は横田夫妻に希望ではなく、
欲望を与え、いや持つことを強(し)い続けてきたのではないかと思います。

しかし、キリスト教はご利益宗教ではありません。
旧約聖書をみてみましょう。
ユダヤのダビデ王は、バト・シェバに恋をし、彼女は妊娠します。
しかし、その時バト・シェバにはウリヤという夫がいました。
そこでダビデは部下に、ウリヤを戦闘の最前線に立たせ、軍を引け、
ウリヤを見殺しにせよと命じます。
ウリヤはダビデの目論見通り戦死し、
ダビデは未亡人となったバト・シェバを手に入れます。
とても恐ろしく、卑怯な行為ですね。
しかし、神はそれを見逃しません。
罪を犯したダビデに、
「お前とバト・シェバとの間に生まれる子供は死ぬことになる。」と告げます。
ダビデは嘆き、生まれた子の命を助けてくれるよう、自分の罪を懺悔し、
粗布を身にまとい、断食をし、灰の中に座って神に祈ります。
(これはユダヤ教において、神に対して最高の懺悔、反省の示し方だそうです)
しかし、子供は死にます。
家臣は嘆きのあまりダビデ王が死ぬのではないかと心配します。
ところが、ダビデは、体を洗い、神を礼拝し、食事をするのです。
ダビデは、神は慈悲深い方であるので、
祈りによってその計画を変えて下さるかもしれないと願って祈ったのです。
しかし、それが叶えられなかったと知るや、
神の意志を受け容れ、気持ちを切り替えるのです。
*ダビデについて解説をします。
 古代イスラエルの王。信仰深く、神にも深く愛された、
 理想とされる人でした。
 今でもそれは変らず、ダビデはイスラエルの英雄のような存在です。
 王になるまでに、数々の艱難辛苦に遭い、その都度神に祈り、
 神に助けられてきたのです。
 そのような人物でも、人間である以上、罪から逃れられませんでした。
 上記のエピソードの後もダビデの信仰、
 神の彼に対する愛は変わりませんでした。

めぐみさんの生死は判りません。
そこが気持ちの切り替えをできにくくしているのだとは思います。
ニーバーの祈りの中には
「変えられないことを受け容れる心の平静さ
変えられないことと、変えられることを見分ける知恵を授けてください」
とあります。
今の早紀江さんに一番必要なのは
このニーバーの「平静の」祈りなのではないのでしょうか。

拉致の罪は拉致の罪、現実は現実で、
北朝鮮ときちんと向き合わなければ、
めぐみさんのことは判りません。
現在のように、心の中が北朝鮮や実行犯への憎悪で満たされ、
一方的に嘘つき呼ばわりし、
憎しみ増幅装置に組み込まれてしまうのでは、
本当に悲劇でしかありません。
*北朝鮮から届けられたいわゆる「めぐみさんの遺骨」は、
めぐみさんの死の証拠ではないかも知れませんが、
生きている証拠でもありません。
日本にいていくら考えても、生死は判らないのです。

実は、拉致問題については既にいくつもの「奇跡」が起きている、
という見方もできるのです。
「奇跡」とは、いきなり天から光が差し、めぐみさんが現れる、
拉致被害者を乗せた飛行機が
日本の空港に降り立つというものではありません。
辛い現実の中で思いもかけぬ出来事が起きたなら、
それは「奇跡」と呼んで構わないという意味の、現実に即したものです。

*ここからはアニメ『めぐみ』を観て頂けると、理解しやすくなります。
https://www.rachi.go.jp/jp/megumi/index.html
・金賢姫氏の存在
大韓航空機爆破事件で、彼女が生き残らなければ、
李恩恵(=拉致被害者田口八重子さん)の存在は
明らかにされませんでした。
李恩恵の存在が明らかになり、拉致が初めて疑惑として浮上しました。
そのために、多くの韓国人労働者が犠牲になった
(大韓航空機の乗客・乗員)事件なので、
「奇跡」と呼ぶのは語弊があり、一面的ではあるのですが・・・

・めぐみさん
新潟で、わずか13歳の中学生が学校帰りに、
自宅のすぐ近くで失踪したのは、実は北朝鮮による拉致だった。
このことが続いて判明しましたが、そのことを公にすべきかどうか、
横田夫妻はとても迷いました。
それでも横田夫妻がめぐみさんの名前を出すことを決断し、
立ち上がったことで、拉致問題は更に表面化しました。
めぐみさんの年齢、早紀江さんの話しが
多くの人の同情を、そして共感を呼びました。
この思いがけない広がりは「奇跡」と言ってもよいものです。

・5人の帰国
特にリストになかった曽我ひとみさんの存在は、
日本政府が把握している以外にも
拉致された人はいるということを示唆し、問題を大きくしました。

・めぐみさんの娘ウンギョンさんの存在
めぐみさんは確かに北朝鮮に拉致をされ、
そこで家庭を持ち、子供を産んでいました。
確かに北朝鮮で生きていた、ということが分かったのです。
めぐみさんは、もちろん、日本にいることに比べれば、
とても残酷で、酷い人生を送ったと、
見なされるかも知れませんが、
それでも生きようとし、
生きたという証を残したとも言えるのです。
ただ新潟で失踪しました、
で途切れたはずだっためぐみさんの生命の流れが、
途切れておらず、受け継がれていたという「奇跡」。

・ウンギョンさんと横田夫妻の面会
ウンギョンさんと面会したい、
しかしすれば、めぐみさんの死亡を突きつけられる。
だから、我慢をして会わない、と言っていたけれど
(考えると、説得力に欠ける理屈です。
ウンギョンさんと会おうが会うまいが、
めぐみさんの生死に変化はありません)、面会は実現しました。
しかも、そのめぐみさんの娘ウンギョンさんは更に成長し、
結婚し子供を産んでいました。
拉致という罪を犯した国ではあり、
日本と比べると自由も少なく、
食糧・医療事情なども厳しい、その国の中で、
それなりに大事にされ、とりあえずささやかではあるけれど
幸福な生活を送っているように見えたようです。
少なくとも、この時の写真での横田夫妻の笑顔は、
めぐみさんの拉致以前の笑顔を見たことがない私達にとっては、
文字通り「見たこともないような笑顔」でした。
横田夫妻は、この時だけ笑顔を取り戻すことができたのです。

これらの「奇跡」は、
夫妻を含めて日本中の人々が拉致問題に関心を持ち続け、
「なんとか進展しますように」と祈り続けた結果なのだと思うのです。
決して、神が拉致問題を見捨てていたわけではないと思うのです。
これを「奇跡」でも何でもない、政治的交渉が成功したから、
と言ってしまえば、拉致問題は政治的な力がそこに及ばない限り、
何も起こらないことになります。
そういう見方をする人もいるのでしょう。

確かに、北朝鮮の思惑、日本政府の外交の力はありました。
しかし、金賢姫氏が偶然生き残るとか、
ウンギョンさんが生まれていたということは
そのような力の外の出来事です。
めぐみさんがウンギョンさんを産むまで生きていた、
ウンギョンさんも無事に成長していたことは
当たり前のように見えるかもしれませんが「奇跡」だと、私は思います。

早紀江さんの祈りは聞かれているのです。
「めぐみをこの手に返してください」
ではなく、親なら誰でも子供の健康・幸せを祈りますが、
そのことは、望み通りのかたちではないとはいえ、
叶えられていたのではないでしょうか。

「めぐみをこの手に返してください。
それができないなら、今、めぐみのいるところで、
めぐみが心も体も健康で、幸福でありますように。」
という祈りもしたことでしょう。
ただクリスチャンであれば、自分の願望だけを言葉にするのではなく、
神の御心ならば、神のご意志ならば、
神の計画と自分の望みが違っているのなら、
その中でも最善になるようにと祈るはずだからです。

私の想像でしかありませんが、
「めぐみをこの手に返してください。」
で終わりの祈りではなかったと思います。
勿論、日本で家族と一緒に生活をする、ということに比べれば、
本当にギリギリの状況の中での小さな小さな幸福でしょうけれど。
それでもそれを「小さな小さな幸福=神の恵み」
と受け入れることは、可能なはずです。
そしてそれを神に感謝することも。

それでも、人ですから、滋さんやご自分に容赦なく迫る老いに、
「もう一度この手に。」と思うのは仕方がないことです。
ただ、そのような家族の気持ちを利用し、
国家間の憎悪を煽るために、
利用価値が無くなるまで使い切ろうとする日本政府は許せません。
その利権に群がる人達も。
そして、その実態を知りながら、
そこに乗っかっている一部の家族も同罪です。
横田拓也・哲也兄弟は横田夫妻のご子息ですが、
姪であるウンギョンさんとその家族に、肉親の情愛を一切示さず、
北朝鮮はおろか韓国まで含めてのヘイトを煽っています。

自分達の発言の影響力を知らないはずはないでしょう。
「私の声は天の声」(2017/9/17国民大集会にて)と言った
有本恵子さんのお父さんの言葉で明らかです。
北朝鮮への憎しみ増幅装置と化した拉致被害者家族会と
早紀江さんは距離を置いた方が良いのではないかと思います。
「めぐみとの再会はひとまず置いて、
今は、孫のウンギョン一家ともう一度会いたい。」と
言えばよいのではないですか。
今や北朝鮮は誰でもいける場所です。
先にも言いましたが「めぐみさんの死亡を突きつけられる」
などというのは詭弁です。
自分の気持ちに正直になれば良いと思います。

私たちは、残り少ない、限られた時間の中での
夫妻とウンギョンさん一家の再会を願っています。
それが、めぐみさんが北朝鮮で確かに生きた
という証でもあるからです。
そしてそれが、日本と北朝鮮の和解という、
次の「奇跡」へとつながる可能性がないとは言えないのです。
*めぐみさんが亡くなっているということではなく、
生死がはっきりせず、交渉も進展していない現状でできる
最良のことだと思うからです。

祈りとは、自分を支え、誰かを支えるものであると思います。
誰かに祈られていることに気づくと
感謝と共に、力を得られるものとなるはずです。
それこそが、一人ではどうすることもできない弱い私達を、
共に居て、守り導いて下さる、
神から私達へ与えられた「恵み」なのではないでしょうか。

8年目

家族会
03 /12 2019
(※拉致被害者家族に呼びかける形態でお伝えします)

“あの日”から8年が経ちました。
大切な方を亡くされた方、まだ行方不明のままの方を探す方、
生活の再建が困難な方、環境が変り孤独を感じておられる方、
多くの方々が悲しみや虚しさの中におられることを思うと
寄り添う人がいること、支える人がいることに
どうか、気付くことができますようにと祈らずにいられません。

皇后陛下が被災地の子ども達に絵本を送られたというニュースを目にしました。
https://www.news-postseven.com/archives/20190311_919801.html?PAGE=1#container
その中の『でんでんむしのかなしみ』(新実南吉)というお話しを以下に載せます。

イツピキノ デンデンムシガ アリマシタ。
 アル ヒ ソノ デンデンムシハ タイヘンナ コトニ キガ ツキマシタ。
「ワタシハ イママデ ウツカリシテ ヰタケレド、
ワタシノ セナカノ カラノ ナカニハ 
カナシミガ イツパイ ツマツテ ヰルデハ ナイカ」
 コノ カナシミハ ドウ シタラ ヨイデセウ。
 デンデンムシハ オトモダチノ デンデンムシノ トコロニ 
ヤツテ イキマシタ。
「ワタシハ モウ イキテ ヰラレマセン」
ト ソノ デンデンムシハ オトモダチニ イヒマシタ。
「ナンデスカ」
ト オトモダチノ デンデンムシハ キキマシタ。
「ワタシハ ナント イフ フシアハセナ モノデセウ。
ワタシノ セナカノ カラノ ナカニハ 
カナシミガ イツパイ ツマツテ ヰルノデス」
ト ハジメノ デンデンムシガ ハナシマシタ。
 スルト オトモダチノ デンデンムシハ イヒマシタ。
「アナタバカリデハ アリマセン。
ワタシノ セナカニモ カナシミハ イツパイデス。」

 ソレヂヤ シカタナイト オモツテ、ハジメノ デンデンムシハ、
ベツノ オトモダチノ トコロヘ イキマシタ。
 スルト ソノ オトモダチモ イヒマシタ。
「アナタバカリヂヤ アリマセン。
ワタシノ セナカニモ カナシミハ イツパイデス」
 ソコデ、ハジメノ デンデンムシハ 
マタ ベツノ オトモダチノ トコロヘ イキマシタ。
 カウシテ、オトモダチヲ ジユンジユンニ タヅネテ イキマシタガ、
ドノ トモダチモ オナジ コトヲ イフノデ アリマシタ。
 トウトウ ハジメノ デンデンムシハ キガ ツキマシタ。
「カナシミハ ダレデモ モツテ ヰルノダ。
ワタシバカリデハ ナイノダ。
ワタシハ ワタシノ カナシミヲ コラヘテ イカナキヤ ナラナイ」
 ソシテ、コノ デンデンムシハ モウ、ナゲクノヲ ヤメタノデ アリマス。
(1980,新実南吉 青空文庫より転載)

人は、誰でも大なり小なり悲しみを経験しています。
その中でも大切な人との別れというのは最大の悲しみであろうと思います。
朝、「行ってきます」「行ってらっしゃい」と言葉を交わし、
夕方当たり前のように食卓を囲む、と思っていたのに…
拉致被害者が家族を失った“その時”を想像し、
心が締め付けられるように感じたことを覚えています。

しかし、そのような経験は、拉致問題に限定されたことではありません。
8年前の“あの日”もそうだったのです。
過労死で家族を亡くされた方もそうでした。
交通事故などで家族を亡くされた方も。
それぞれに悲しみ、喪失感を感じ、更には自分を責めることもあるでしょう。
「あの時、声をかけておけば。」「手を離さなければ。」
しかし、残されたものはそれでも、生きていかねばなりません。
悲しみを受け容れ、亡くなった人を思いながら生きていくしかないのです。
「でんでんむし」が背中に悲しみを背負いながら生きていくように。

私たちのブログのタイトルにもなっている
「ニーバーの祈り」は別名「平静の祈り」とも言われています。
「神よ 変えられないことを受け容れる心の平静さを与え給え」
から来ています。
「変えられないことを受け容れる」ことは容易なことではないのです。
とても平静な心持ちではいられません。
自分一人ではどうにもならないほどに。
だから、受け容れられるようにと神に祈るのです。
一度祈ったから、叶えられるわけではありません。
何日も、何年もかけて少しずつ、
受け容れられるようになっていくのだと思います。

人はこの世で永遠に生きることはできません。
命には限りがあるのです。
失った家族や大切な人の命は戻ってくることはありません。
残された者は、それを変えられない現実として受け容れるのです。
そして、命には上下、軽重などありません。
どの命も等しく尊く、1つしかないのです。
人権についても同様です。上下、軽重などありません。

拉致された被害者を「全員生きている前提で」取り戻すという
日本政府の方針のなんと残酷なことでしょうか。
「亡くなっている可能性も考えて、対応いたします」と
発言することができないばかりに
家族に余計な「希望」を持たせ続けているのです。
「希望は最悪の災いだ。苦しみを長引かせるのだから」(ニーチェ)
という言葉を思い出します。

*私たちは、「全」拉致被害者が亡くなっていると言いたいのではありません。
 人の命に限りがある以上、そのことも考慮に入れて
 誠実に家族や北朝鮮との交渉にあたるべきだと考えているのです。
 このことは当ブログ「新しい視点」にも書いております。

家族にも判っているはずです。
「人は永遠にこの世で生きることはできない」ことは。
それなのに、何故「生きて、目の前に連れてきなさい」と言い、
北朝鮮が何を出して来ても「北朝鮮は嘘ばかりだから」と否定し、
見たいものしか見ようとしないのでしょうか。

「生きて、再会したい」という家族の気持ちは理解できます。
しかし、政府が「生きている前提で」と
おかしな希望を持たせるので、現実を受け容れることが
出来なくなっているのです。
その歪んだ「希望」が北朝鮮、在日韓国・朝鮮人への憎悪を生んでいる、
また、そのことに利用されているということに気づけないほどに。

哀しみは哀しみとして受け容れる、
そこから周りの人への愛が生まれるのではないでしょうか。
自分と同じ悲しい思いを他の誰にも味わってほしくないから、と。
8年目の“あの日”のニュースを見て、
悲しみを受け容れて、それでも生きている人達の姿は
拉致被害者家族にはどのように映ったのでしょうか。
「まだ行方不明のままだから、どこかで記憶喪失にでもなって
生きている、いつかきっと戻ってくる、
だから、政府は「行方不明者は生きているという前提で」
総力を挙げて、最優先にして探し出して欲しい」
という人などいません。
行方不明者の捜索、被災者救済が「最重要事項だ!最優先だ!」
という人もいません。
現実を悲しみと共に受け容れて、静かに、強く生きています。

自分達に共感をして欲しいと国民に願うなら、
他の人達の悲しみ、困難さにも心を寄せたらどうなのでしょうか。
共感とは、共に感じると書きます。
一方向的なものではありません。

「ワタシハ ワタシノ カナシミヲ コラヘテ イカナキヤ ナラナイ」
というのは「我慢しなさい・諦めなさい」という意味ではありません。
そんな意味の絵本を、皇后陛下が送るはずがありません。
一人では担いきれないカナシミを、共に担って生きていく事。
長い別離の後、奇跡的に会うことができたなら、
それまでカナシミを共有していた人々と共に喜びあう事。

他の人達の悲しみ、困難さにも心を寄せることは、自分のためでもあるのです。

国民大集会 報告

家族会
09 /25 2018
2018年9月23日 
「全拉致被害者の即時一括帰国を!」国民大集会

永田町 砂防会館 14時開演 司会 櫻井よし子氏

https://www.youtube.com/watch?v=1zdtVKOtJbw
上記リンクは救う会全国協議会youtube動画です。
2時間40分という大変長いものですから、
ポイントをご紹介いたします。

安倍総理大臣挨拶 15分15秒 辺りから。

松田良昭氏(神奈川県議会議員 拉致問題地方議会全国協議会会長) 
 1時間6分辺りから。
「安倍さん、安倍総理の下で解決するんだという。
憲法改正をして、強い日本になれ。」
(憲法改正と拉致問題はよく結び付けられますが、
本来全く関係ありません。改正しても被害者救出は実現しません)

参加議員紹介 1時間9分前後、杉田水脈議員の紹介時、一際大きな拍手が。

立憲民主党 村上史好衆議院議員 36分25秒 辺りから
 冒頭、終了後、会場から野次。
「与野党なく、一致してあたる」という言葉を司会の櫻井氏が捉え
「立憲民主党は全面的に安倍総理をバックアップしてくれる」
とその後も何度も弄る。子どもの苛めのようで不快でした。

横田拓也氏(横田めぐみさんの双子の弟) 1時間18分辺りから。
「北朝鮮は交渉をしなければならない相手だが、
犯罪者、テロ支援国家であることを絶対に忘れてはいけない。
解決の定義を決めるのは、私たち家族であって、北朝鮮ではない。 
私たちが納得するまで、この問題は解決しない。
求めているのは、全拉致被害者即時一括帰国。
(その他、調査委員会、連絡事務所設立等を画策している連中は)
彼らは私たちの救出活動にとって間違いなく妨害行為であるということです。」

横田哲也氏(横田めぐみさんの双子の弟) 1時間21分辺りから。
「北朝鮮はテロ支援国家ではなく、テロ国家である。
また、歴史を紐解けば、北朝鮮も南朝鮮も
息を吐くように平気で嘘をつき、
裏切り行為をしているような国であります。」(これはヘイトでは…)

飯塚耕一郎氏(田口八重子さん長男) 1時間24分 辺りから。 
「全拉致被害者即時一括帰国という定義を一切変えてはならない。
一切の妥協をしてはならない。
アメリカのビーガン国務省特別代表に、アメリカは核で一切妥協できないように
日本も拉致で一切の妥協はできないのだということを理解してくださいと
申し上げました。」(家族は日本政府の代表なんでしょうか?)

本間勝氏(田口八重子さん兄) 1時間27分 辺りから。
「朝鮮総連という悪の組織を解体しなければならない。」

増元照明氏(増元るみ子氏弟)  1時間33分 辺りから。
「今年の春に、すべての国会議員の皆さんにブルーリボンバッジを
着けていただきたいと。
今年が最後になるだろうから、この40年、20年放置してきた皆さんに
拉致被害者の方を1日1回だけでも意識してもらいたいから。
なかなかそれが普及しない。
立憲民主党の枝野さんにもぜひつけていただくように仰ってください。
国会議員にも国民の皆さんにも意志を示していただきたい。
他にも日本にはできることがあるんじゃないですか。
まずは日本国内にいる北朝鮮シンパの方々を日本の法律の中で、
しっかりと始末していくことが。
(自民党)総裁選で石破さんと安倍さんと完全に意見が分かれた。
石破さんの発言は拉致被害者は死んでいるという前提の下でのもの。
生きているということを信じているなら、
櫻井さんがおっしゃったように返せということを言えば済む。
連絡所を置くということは日本側が納得するという
死亡報告をしなさい、それを日本側が検証するということだろうが、
それは被害者が死亡ということを前提としている。
こんな事を言う、メディアもそうだが、
本当に救出しようという心があるのか。
生存を信じてやってきた。
死亡ということを広める国会議員、メディアは私たちの敵だ。」
(この後、拍手、野党に対する野次。辻元清美を出せ、という意味不明な声も)

松本孟氏(松本京子さん兄)  1時間48分辺りから。
声が小さく聞き取りにくいですが、
自民党総裁選の結果が気になり夜も眠れない日々が続いたそうです。
安倍さんが再選され、本当に良かった。
安倍さんの他に誰が拉致問題を解決できるだろうか。
安倍さんが再選され、本当に安堵したと繰り返されました。

司会者櫻井よし子氏  1時間50分 辺りから。
「(総裁選結果についての)メディアの報道の仕方はおかしいと思う。
安倍総理は圧勝しているんです。圧勝以外の何ものでもない。
拉致問題に関して色々やってくれた政治家は安倍総理以外にいない。
拉致問題に関して、安倍さんの功績を考えずに
石破さんのことばかり褒め上げるのは本当に本末転倒です。」
(安倍総理を讃える独白を司会者が延々と行う)

大澤昭一氏(特定失踪者家族会代表 大澤孝司さん兄) 2時間4分 辺りから。
「(2時間11分辺り)救出にあたっては、
家族会、特定失踪者一緒に、生存している日本人を、すべての日本人を
見捨てることなく、1人からでも、1人でも多く、一刻も早く
取り戻してください。私たち特定失踪者家族の願いです。
多くの日本人の帰国があれば、すべての日本人が喜んでくれます。」
(全員即時一括帰国とは対比される声です)

荒木和博氏(特定失踪者調査会代表) 2時間14分 辺りから。
安倍総理には批判的だが、協力を惜しむものではない。
自衛隊を使うことを考える。
拉致問題に関心のない人を、是非とも1人は連れてきてほしい。
(このような集会を普通の人が見聞きしたなら、
驚かれるのではないでしょうか?逆効果になりませんか?) 
又、荒木氏は、特定失踪者調査会、家族会の方針として、
「1人からでも救出を」との決定があるにも関わらず、
繰り返される「全員即時一括帰国」に対し、
全く触れませんでした。

私の感想は以下です。
「これは、ヘイトの集会ですか?それとも何かの宗教ですか?
家族会は最早弱者ではなく、北朝鮮憎悪煽動の尖兵ですか?
安倍総理に絶対的な信頼を寄せ、全面的な支持を表明し、
傲慢ともいえる発言をして
国民の心を1つにして応援してください、と言われても
無理ではないのか…
一切の歩み寄りを拒否し、交渉相手国に罵詈雑言を浴びせ、
交渉の糸口などつかめるのだろうか?」
という失望にも似た思いでした。
救出に関わりながら
自分たちと異なる意見を持つ人たち(国会議員、識者、メディア等)に対し
妨害工作、敵と排除し罵倒することに終始する姿を見ていて、
悲しくなってきました。
又、金正恩朝鮮労働党委員長に対し
「キン・ショウウン」と敬称も付けず日本語の音読みで通すのは
非礼ではないでしょうか。
いくら、快く思わない相手であっても、
最低の礼儀位は持つべきであると思います。

皆様はどのようなご感想をお持ちになったでしょうか。








被害者家族の発言に対する違和感

家族会
09 /04 2018
被害者家族の発言に対する違和感

「帰国させてあげられず 「ごめんなさい」」
飯塚繁雄家族会代表の
妹、田口八重子さん他拉致被害者に向けた言葉です。
2018年9月23日開催予定の国民大集会チラシ裏面にあります。

飯塚家族会代表をはじめ、家族会の方々は、
拉致が北朝鮮によるものとの認識が社会に浸透する以前から、
逆風にめげず積極的に街頭署名活動等を行ってきました。
政治家にも働きかけ、それが2002年の小泉訪朝による
5人の被害者帰国に結びついたことは疑う余地はありません。
十分に成果を果たしたのです。
ニーバーの祈りの「変えられるものを変える勇気」を持って、
当時の「拉致疑惑」を「拉致問題」に変えたのです。
それについて飯塚代表が謝罪をする必要はありません。

飯塚代表が拉致被害者に
未だに帰国実現を果たせないことを謝罪するなら、
それは以下についてでしょう。
何ら具体的成果を出せていないにも関わらず、
安倍総理を支持し続けていることに対してです。
「私の内閣で解決すると言いながら、
この5年間、成果を出せていないにも関わらず、
その総理を支持し続ける国民の気持ちを変えられない。
自分たち家族も総理支持を止められなくて、ごめんなさい。」

2002年から今年で16年になります。
その間、1人の被害者の帰国も実現していません。
これは、家族会の運動の力が落ちたからなのでしょうか?
そうではありません。
家族には、外交権はありません。
外国の首脳との交渉権もありません。
政治家でもない一国民である家族にできることは
それほど多くはありません。
できることは、運動を続け、世論を喚起する、
あるいは、被害者の無事、帰国を祈ることではないでしょうか。
しかしながらいくら影響力のある家族であっても、
国民が共感を得るか得ないかは家族の手を離れた事柄です。

では、16年間、
一人の被害者の帰国も実現できていないという事実は
一体誰に問題があるのでしょうか。
外交権、外国の首脳との交渉権を持っている人になります。
日本国の総理大臣です。
現時点なら安倍総理に問題があるということになります。
特に、最近は米朝関係、南北朝鮮関係の緩和を受けて
積極的に動く時でした。
トランプ大統領へ拉致問題について言及するよう要請し、
その後、金正恩委員長から「なぜ直接言ってこないのか」との
メッセージが発せられたにも関わらず、
相変わらず、制裁・圧力を言い続け、
北朝鮮憎悪を煽動する言動に終始し、
日朝会談実現を先延ばししている安倍総理こそが
一番の障害、問題ではないのでしょうか。
米朝会談前には、あれほど「最後のチャンス」と言っていたのですから
家族は進展の無いことを批判しなければならないでしょう。

「これが本当に最初で最後、千載一遇のチャンスだ」。
田口八重子さん(失踪当時22)の兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(79)は
18日午前、埼玉県上尾市の自宅前で取材に応じ、
「逃したら解決の糸口はもう見つからない」と強調した。
(日本経済新聞2018.4.27)

トランプ大統領に「拉致問題言及」をお願いし、
それは実現しました。
良かったですね!トランプ大統領は総理の声を聞き届け
拉致問題について、金委員長に言及してくれましたよ!
さて、これで被害者帰国は実現するのでしょうか?
「解決の糸口」を断ち切っているのは誰でしょうか?

家族が拉致問題を解決できない安倍総理を
批判もせず支持し続けることについて
「政府にお願いする立場だから仕方がないではないか?」
という声がありますが、
家族は「何としても被害者を救出したい」為に
運動を続け、「できることは何でもする」という
覚悟を持っているのですから、批判位できなくてどうしますか?

では何故、家族が総理を批判できないのか?
成果を出せていないにも関わらず、支持し続けるのか?
以下の発言に見られるように
日朝交渉をしない総理をアシストするような発言をするのか?
「新しい視点」にある通り、
マインド・コントロールにかかっているからなのでしょうか?
「この道しかない」という訳です。
あるいは、拉致被害者家族様という
「特権階級」でい続けたいからでしょうか?

「「この問題は決してあせらずに着実に、
きちんと事が進むようにしてほしい」と。
色々な意見があります。
日朝国交正常化交渉を先にやった方がいいとか、
名簿だけでも出させろとか、
調査委員会をもう一回立ち上げるべきだとか。
日本の中でそういう議論がありますが、
私たちとしては、そういうことに一々こだわらず、
耳をかさず、拉致被害者の帰国という
一点に向けた着実な活動をお願いしたい。」
飯塚繁雄家族会代表 国民大集会チラシ裏面より

段階的な手順を踏まず、一気に「全員即時一括帰国」へ飛ぶ。
誰が考えても性急すぎると思うでしょう。
この発言は、チラシ裏面の横田拓也氏、飯塚耕一郎氏も
同じ内容のことを発言しています。
9月1日の「拉致問題を考える埼玉県民集会」でも
飯塚耕一郎氏は「全員即時一括帰国は譲れない。」
と発言しています。
何度でも言いますが、この「全員即時一括帰国」は不可能です。

家族に今必要なのは、
「変えられないことを受け容れる勇気」を得て
現状を冷静に見直し、日朝交渉の実現、段階的な解決法の選択へと
方向転換し、踏み出すことではないかと思います。

横田夫妻以外はクリスチャンであるという話は聞かない、
拉致被害者家族の方々には、
名前を聞いたこともない神学者ニーバーの言葉など
響かないかもしれません。
しかし、ラインホルド・ニーバーから学んだことについて、
かのバラク・オバマ前アメリカ大統領は以下のように語っています。

「世界には深刻な悪があり、
欠乏や苦痛があるという否定しようのない事実から私は出発する。
そしてこれらの事実を世界から除去する力を
われわれが持つと自負する信念について、
われわれは控え目であるべきだと思う。
しかしだからと言って
それを冷笑主義や拱手傍観主義に陥る口実としてはならない。
それが困難なことであると知りながら、
しかも素朴な理想主義や辛辣な現実主義の間を揺れ動くのではなく、
何かをしなければならないという感覚から・・・私は出発する。」
(『はじめてのニーバー兄弟』S.R.ペイス より)

何でも願えばその通りの結果が得られる訳ではありません。
しかしそれを踏まえた上で、
私達は何かをしなければならないという感覚から、
出発しなければならないのです。
安倍総理に全てお任せして、拱手傍観している場合ではないのです。

横田滋さんのこと

家族会
08 /01 2018
横田滋さんのこと

2018年4月に横田滋さんは体調を崩し入院されました。
その後、現在(8月1日)に至っても退院されたという話しは聞いていません。
滋さんが長年の救出活動の疲労、年齢からくる体の衰えにより、
人前に出てこられないようになったことに年月を感じ、
また大変悔しく、悲しい思いがしています、

横田夫妻と言えば、
どうしてもお母さんの早紀江さんに注目が行くように思います。
救う会の幹事時代に、
県民集会の講師に横田夫妻を呼べないかという話しになった時も、
「早紀江さんだけでいいんじゃない。滋さんの話しはいつも同じだし。」
という声が出たほどです。
「早紀江さんだけでいいんじゃない。」という声に、
私は「いや、滋さんも呼んでほしい。好きなんだよね。
あの朴訥としているけど、やわらかな雰囲気が。」と話し、
ご夫妻で講演にお呼びすることになったのでした。
私は滋さんの雰囲気、穏やかではあるけれど、
もう一度めぐみさんに会いたいのだ、そのためには何でもするのだ、
という強い思いにとても魅かれていました。

確かに早紀江さんほど、話しが上手なわけではありません。
滋さんの話しを聞いて会場からすすり泣きが聞こえるということはありません。
どちらかというと、
淡々と事実のみをお話しされるという講演のスタイルだと思います。
そのことを不思議に思っていました。
救う会の他の幹事たちも、「どうして、滋さんはいつも、
「私たちの長女のめぐみは、1977年11月15日に中学校の部活動の帰りに~」
という誰でも知っている経過から話しをするのだろう?
もっと、めぐみさんとの思い出や、
進展しないことに対する今の思いを話されたらいいのに。」
「あの、拉致の経過は誰でも知っているよね。毎回毎回、あれだよね。
どうしてなんだろうね?
もう、その話しは知ってるよ、と思っている人も多いんじゃない?」
と話し合ったものでした。

同じ話ししかできなかったのではありません。
マニュアルだったのでもありません。
滋さんは、その日、
会場に初めて拉致問題に関心を持ち訪れた人に向かって話しをしていたのです。
その時の、私には判らなかった、気づかなかったことです。
救う会と家族会は、毎年、春と秋の2回、
国民大集会という1000人規模の集会を開きます。
全国の救う会の幹事、会員等、日頃から拉致問題に関心があり、
実際に運動をしている人達で会場は占められます。
が、中には初めて拉致問題の集会に参加したという方もおられるでしょう。
会場の中のわずかな人数かもしれません。
しかし、滋さんは、その「初めて」拉致問題に関心を持ち、
集会に訪れた人に向かって話しをしていたのです。
「13歳の私の娘は普段の生活の中から、いきなり切り離されて
北朝鮮という国へ連れていかれました。
朝鮮語を覚えたらお母さんの所へ帰してあげる。
結婚したら帰してあげる。子供を産んだら帰してあげる。
そう言われながら、一所懸命生きてきた。もう一度会いたいのです。
お願いですから力を貸してください。」
と初めて集会に訪れた人に訴えていたのです。
もちろん、そういう気持ちだったと滋さんから聞いたわけではありません。
しかし、毎回毎回、同じ拉致の経過の話しをされる意味は、
そこにしか見出せません。
たった一人でもいい、
初めて拉致問題に関心を持ってきてくれた人がいるのなら、
その人に知ってほしい、そして力を貸してほしい。
そんな思いで同じ話しをされていたのだろう、
そのことに気づいたのは、最近のことです。

滋さんは、どんなに小さな集会、遠方であっても
「めぐみの話しを聞きたいという人がいるなら、
行って話しを聞いてもらうのだ。」と言い、
都合がつく限り講演を断らずに引き受けていたと聞きます。
2014年の時点で1400回の講演をされていたと聞いています。

また、滋さんは大変穏やかに見えますが、実はとても頑固で、
自分でこうすると決めたら周囲が何を言おうが引き下がらなかったといいます。
2012年頃、清津会という北朝鮮に残された日本人の遺骨を引き取る、
あるいは墓参をするという会が立ち上げられました。
その会は政府が積極的に進めるものではなく、
寧ろ、リベラル系の人達が多く関わっているものでした。
事務局の中にはよど号関係者もいました。
そのような会の集会に滋さんが何度か参加をしていました。
救う会、家族会は参加することは利用される恐れがあるので、
行かないでほしいと何度も説得をしていたといいます。
しかし、滋さんは
「なんでもいいから、北朝鮮とつながりを持てるなら、そこに賭けたい。」
というようなことを話され早紀江さんが止めるのも聞かず、参加を続けました。
リベラル系の集会に参加をするということは、当時も今も、
「あの」救う会や家族会から見れば、とんでもないことです。
政府関係者と食事をし、
政府の言いなり、政府の批判は表立ってはしない、
そのような家族会にあって、稀有な存在と言えるでしょう。

清津会の集会には、私も参加をしましたが、当時はウヨク的だった私には、
北朝鮮シンパの何とも怪しげな人達が集まる集会に思えました。
そこでも滋さんは、いつも通りに話しをされていました。真剣だったのです。
本気でできることは何でもするつもりだったのです。
イデオロギーや主義主張に偏ることなく、誰に阿ることなく、
ただ1点「めぐみに会いたい。」
そのことだけで行動をされていたのだと思います。
そこまでする家族は私の知る限り、滋さんだけです。
滋さんだけが、
家族会の中にいて、救う会や政府のマインド・コントロールに
かかっていない人だったのではないかと思っています。

今、滋さんの代わりに、
息子さんたちが大きな声で話しをするようになりました。
救う会のいう、「即時全員一括帰国」という
非現実的で、ほぼ不可能な目標を繰り返し唱えています。
北朝鮮への恐怖や憎悪を煽る発言もされています。
滋さんは朝鮮学校高等部の無償化についても
「生徒には日本永住権がある。
間違ったとんでもないことを教える学校には出さない
というのは解るけれど、(おかしな内容ならそれを変えれば良い)
拉致を理由に朝鮮学校に補助金を出さないのは筋違いだと思います。
単なる嫌がらせです。」『めぐみへの遺言』(2012)p199
と語る滋さんとは全く異なる思いをお持ちの様です。

その滋さんが、自分の気持ちを話し、聞いてもらうことができない状況、
とても悲しく、残念で、こうなるまで希望を持たせながら意図的に放置をし、
騙してきた日本政府を許すことはできないと改めて思うのです。

有田参議院議員の寄稿への被害者家族からの批判について思うこと

家族会
06 /19 2018
有田参議院議員の寄稿への被害者家族からの批判について思うこと

2017年11月6日のウェブサイトIRONNAに掲載された有田芳生参議院議員の寄稿
―『安倍総理の「やってる感」に愛想を尽かした拉致家族のホンネ』https://ironna.jp/article/8107
に対して、北朝鮮による拉致被害者家族の1人である飯塚耕一郎氏が
自身のツイッターに以下のツイートを投稿しています。
「拉致被害者に寄り添うような書き方をしていますが、我々の意見も聞かず、
一方的かつ勝手な意見。よく産経系がこんな記事出したね。
いい加減、代弁者気取るのは辞めろ。」

有田議員はこれに対し
「飯塚さんにはお聞きしていませんが、ちゃんと取材して書いています。
代弁者のつもりは全くありません。
しかし寄り添う意思は当然あります。だから批判を覚悟で二度訪朝したのです。
「我々」と一括りにせず「われ」として拉致問題解決の現実的な方法をぜひお書き下さい。」
と返信しています。

このやりとりに多くのフォロワーが「拉致被害者家族に楯突くのか?」
というような批判を有田議員に投げつけています。

拉致被害者家族が、政府に「お願い」する立場であり、
表だって政府批判はできないということは理解できます。
又、第2回小泉訪朝時、期待したような結果を持ち帰れず、
小泉総理(当時)を批判し、世論のバッシングにあった経験から
政府批判に及び腰になっていることも想像できます。
しかし、有田議員は野党の立場で拉致問題に関わり、
その視点から違和感を覚えたことに対して批判をしているのです。
それは有田議員が、拉致被害者奪還に対して意欲を示し、
野党議員の立場からできることをしていこうという気持ちの表れだと思います。
家族は感謝こそすれ、「代弁者を気取るのは辞めろ」
という強い言葉で批判するべきではないでしょう。
安倍総理以外は拉致に関わって欲しくない、
関わることはできない、関わる資格もないということなら別ですが。
常々オール・ジャパン体制でと言っているではありませんか。

有田議員の寄稿に批判を放った飯塚耕一郎氏ですが、
救う会全国協議会副会長の島田洋一福井県立大学教授の
以下の発言には全く触れていません。
どういうことなのでしょうか?
島田氏は「北朝鮮にいる拉致被害者」の気持ちの代弁をしています。

「米軍は、一般市民の居住地域は避け、北朝鮮の指令系統中枢部や
核・ミサイル施設をはじめとする
軍事施設、軍事拠点に限定して空爆作戦を展開するだろう。
それでも、拉致被害者に危害が及ぶリスクは残る。
しかし私が拉致被害者なら、生殺しのような状態が続くよりは、
リスクはあっても一気に決着を付けて欲しいと思うだろう。
政治犯収容所に入れられているような状態ならなおさらである。
考えたくないことだが、
「反抗的」と北の当局に烙印を押された一部の拉致被害者が
収容所で日々虐待に晒されている可能性はある。」
Japan in depth 2017.11.23「軍事オプションと拉致問題」より 
http://japan-indepth.jp/?p=37181

この記事では米朝間で戦争状態となった時の仮定の中の1つとして、
北朝鮮にいる拉致被害者の気持ちを
「リスクはあっても一気に決着を付けて欲しいと思うだろう。」
と「代弁」しているものです。
本当に被害者がこのような気持ちでいるかどうかは、
本人以外には判らないもので、
島田氏の勝手な推測でしかありません。
こちらの発言こそ、「一方的かつ勝手な意見」であり、
「いい加減、代弁者気取るのは辞めろ」と
批判をするべきではないのでしょうか。
有田氏の場合は飯塚氏にではありませんが、
他の被害者家族へきちんと取材をしています。
島田氏が北朝鮮にいる拉致被害者に取材をしたとは思えません。
それとも特別なルートで被害者と接触があり、
そのような声を聞いて来たのでしょうか。
だとするなら「~欲しいと思うだろう。」という書き方はしないはずです。

米朝戦争となれば、被害者が危険にさらされることは誰でも容易に想像のつくことです。
爆撃等によるものだけではなく、
北朝鮮当局により、米軍等に「発見される」ことをおそれて
「証拠隠滅」のために殺害される可能性の高いことは、被害者家族も想定していることです。
だからこそ、横田夫妻は「戦争はいけない」と言われていたのです。

 飯塚氏をはじめ家族会の方々は、安倍総理以下政権与党の議員の方々の声、
その応援団の方々の声には大変寛容です。
が、野党議員に対しては大変冷淡であるように見えます。
所謂保守と呼ばれ、安倍総理を応援している人達も、
与党議員の言動には賞賛をおくるが、
野党議員の言動には「拉致問題を利用するな」という罵声を投げつける。
与党議員はみな誠心誠意真心を尽くして拉致問題にあたり、
野党議員は拉致問題を利用してのし上がろうとしている、
売名に拉致問題を利用しようとしている、という決めつけ。
与党であろうが、野党であろうがもっと公平な視点、
冷静な心持で見ることはできないのでしょうか。

拉致問題は2002年の5名の被害者帰国以来、
1人の被害者の帰国も実現していません
。第2次安倍政権発足からも早5年、
被害者の帰国どころか何らの進展すら見えません。
被害者・家族の高齢化が進む中、家族にも国民にも焦る気持ちはあるでしょう。
そうであるならば、与野党問わず、帰国実現という成果に向けて、
様々な方法が試されてしかるべきです。
政府が手をこまねいて、
実際の帰国実現に関係のない広報やパフォーマンスに終始しているなら、
批判されて当然と言えます。

政府のすることに批判を許さない、
しかも「拉致被害者家族」の声を「天の声」のように思い、
絶対視することは現実的とは言えません。

被害者家族と私達第三者のとらえ方、感じ方は違って当然です。
家族は「お願い」する政府、何度も面会をする総理に対して
ある種の「感情」が沸くのも仕方が無いでしょう。
しかし、だからと言って、政府・総理のすることが絶対善・正であり、
それに対する第三者の批判を許さないという態度は
全く現実的でも建設的でもありません。
取り戻したいと思う気持ちは与野党議員、家族、国民、
濃淡はあるでしょうが誰でも同じはありませんか。

Serenity Prayer

某県「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出する〇〇の会)元幹事。
脱退後に意見の対立から除名されたらしい。(正式な通告はなかった)
ウヨク的思考を経て中立に物事を見て、判断し、発言する方向へ変わる。
中立の立場から今の拉致問題のあり方に疑問を持つ。
拉致問題に限らず、考え方はヒューマニズムに立つ。